2016 Fiscal Year Research-status Report
メカノセンサーを標的とした新たな口腔粘膜バリア薬開発
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16K15825
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
城戸 瑞穂 佐賀大学, 医学部, 教授 (60253457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合島 怜央奈 佐賀大学, 医学部, 助教 (30756143)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メカノセンサー / マウス / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
火傷や外傷、さらには糖尿病患者や、アスピリンなど非ステロイド消炎鎮痛剤の投与による創傷の治癒不全はしばしば生命に関わる重篤な病態につながる。また、超高齢化社会を迎え、寝たきりになることで生じる「褥瘡」が、医療や介護の現場で大きな問題となっていることも考え合わせると軟組織創傷の新たな治療法や薬剤の開発は急務である。 口腔は身体の他の部位に比べ、多様な化学・機械・温度刺激に曝されている。ゆえに粘膜が損なわれ、創ができることも少なくないが、再生能力が高く速やかに治癒し、瘢痕も生じにくいことが知られている。しかし、その理由は明らかとはいえない。 私たちは、口腔上皮や皮膚上皮にTRP(transient receptor potential channel) チャネルというカルシウム透過性チャネル群が機能的に発現していることを見いだし、生理的な機能を明らかにしてきた ( Kido et al., 2003, Shimohira et al., 2009, Wang et al.,2011) 。近年、機械的な刺激が創傷治癒を促進させるとの報告も蓄積されてきている。そこで、口腔上皮に発現する機械刺激センサーとしてTRPチャネルを想定し、その制御による創傷治癒への影響を解明することとした。 口腔上皮では、部位によりTRPチャネルの発現分布に差があることがマウス口腔粘膜の免疫染色により明らかになった。さらに、初代培養口腔上皮細胞におけるスクラッチアッセイでは、TRPV4の制御により差が認められたことから、TRPVチャネルが創傷治癒に関連することを見いだすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔上皮に発現する機械刺激および温度感受性のイオンチャネルTRP(transient receptor potential channel) チャネルが創傷治癒に関わることは以前報告してきたが、TRPV3, TRPV4とともに同程度の温度で活性化することから、口腔上皮の細胞増殖や移動にどのように関わるのかを調べた。TRPV3が細胞増殖に関わる一方でTRPV4は増殖を抑制している可能性が示唆される結果が出た。口腔上皮細胞は温度により細胞間の接着を強める傾向も示された。創傷治癒の細胞レベルおよび個体レベルの実験も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス個体レベルにおけるTRPVチャネルの制御を行い、創傷治癒への影響を明らかにする。
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