2017 Fiscal Year Research-status Report
口蓋裂の予防法確立に向けた挑戦-臨床データに基づく独創的方法の開発-
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16K15830
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
夏目 長門 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (90183532)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口蓋裂 / 予防 / 疫学 / 産み分け / 遺伝カウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
1.愛知学院大学歯学部附属病院口唇口蓋裂センターにおいて口蓋裂症例の収集を行った。 2.ミャンマーにおいて現地調査(2月17日~24日)を行った。 3.口唇口蓋裂患者のデータベース化を行った。 4.口唇裂の予防について口唇裂の予防について、乳製品摂取の効果を動物実験で検討した。 疫学調査の結果、アジア系人種における口唇口蓋裂の発生率は一般に他の人種より高率の0.1~0.2%であるにも関わらず、モンゴル人においては0.076%と低率であったことは既に報告している。また過去の研究で妊娠中の乳製品の摂取が口唇口蓋裂の発生率を低下させる可能性が示唆されており、よく乳製品を摂取しているモンゴル人における口唇口蓋裂の発生率の低さには特定の乳製品の摂取が関与している可能性がある。そこで、モンゴルチーズの摂取と口唇口蓋裂の発生との関係を調べるため、口唇口蓋裂を高率で自然発生するA/J系マウスを用いた動物実験を行った。8週齢のマウスにモンゴルチーズByaslagをマウス用固形飼料とともに自由摂取させ、妊娠18日目に帝王切開にて胎仔を取り出し、胎仔の致死率および口唇口蓋裂の発生率を調べた。その結果、モンゴルチーズを摂取させた実験群では対照群と比較して胎仔致死率と口唇口蓋裂発生率に統計的に有意な差が認められた。胎仔致死率は、対照群が20.6%だったのに対し、実験群では7.0%であった(p < 0.05)。また口唇口蓋裂発生率は、対照群が11.7%だったのに対し、実験群では6.5%にとどまった(p = 0.041)。本研究により、モンゴルチーズByaslagはA/J系マウスにおける胎仔致死率と口唇口蓋裂発生率を低下させる効果を有することが示唆された。 5.第57回日本先天異常学会学術集会において成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.エチオピア、モンゴルにおいて同様の現象が存在するか調査を行った。 2.日本口蓋裂学会、日本先天異常学会において成果発表を行った。 3.入手したデータ入力を完了した。 以上の点から本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.モンゴル、ラオス、ミャンマーにおいて調査を行う。 2.口蓋裂における着床前遺伝子診断の臨床応用についての分析、研究を行う。 3.動物実験のデータとの比較分析を行う。 4.日本口蓋裂学会、日本先天異常学会において成果の成果を発表するとともに論文執筆を行う。
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Causes of Carryover |
2月に学術調査を行い関係書類が現地の都合で作成が遅れたため次年度使用が生じた。適正に支払いをするため4月に関係書類の到着を待ち事務処理を行った。
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Research Products
(2 results)