2016 Fiscal Year Research-status Report
健全プラーク育成アプローチの開発に向けた初期付着菌コンプレックスの統合的理解
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16K15856
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | デンタルプラーク / 初期付着細菌 / 16S rRNA遺伝子 / 唾液 / 舌苔 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究について九州大学医系地区臨床研究倫理審査委員会に研究計画を申請し、実施許可を得た。初期プラークを採取するために研究参加者に装着を依頼するハイドロキシアパタイトディスクプレートの形状について検討を行い、ディスクの形状およびその裏打ちとなるプレート用の素材と形状を決定した。実際に作成したディスクプレートを用いて検体採取を行い、細菌DNA抽出方法について検討した。口腔診査表を作成したのち、本学学生から研究協力者を募集した。応募のあった70名の協力者について口腔診査を行うとともに、唾液、舌苔、ハイドロキシアパタイトディスクに付着した初期付着プラークを採取した。採取した検体については冷凍にて保存し、細菌DNA抽出を開始した。採取した検体の一部については細菌共通配列である8Fおよび338Rプライマーを用いて細菌16SrRNA遺伝子をPCR法を用いて増幅したのち、次世代シーケンサーを用いて塩基配列の解読を行い、細菌構成を決定した。この解析において初期付着プラークの細菌構成が唾液とは大きく異なっていることが明らかとなった。これにより本解析系で得られた初期付着プラークが単に唾液細菌の付着したものではなく、ディスク上に初期バイオフィルムとして形成されたものであることを確認することができた。加えて、Streptococcus mitisをはじめとする細菌種は唾液中の構成比率と比較して初期プラークにおける構成比率が特徴的に高く、これらが初期付着プラークの形成に強く関わる菌種である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、倫理審査委員会による研究計画の承認や、初期プラーク採取を行うためのハイドロキシアパタイトディスクプレートの形状をはじめとする解析系を決定することができた。また実際に研究協力者の募集を開始し、70名について口腔診査および検体採取を進めることができた。細菌群集解析については採取検体のうち一部についての完了に留まったが、研究の完了については十分に目処が立ってきていることから、全体の達成度としては「概ね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究協力者の確保を進めるとともに抽出したDNA検体について定量PCR法および次世代シーケンサーを用いた微生物群集解析を進める。得られた口腔の健康に関する情報等をデータ化するとともに、う蝕をはじめとする口腔疾患に関連する細菌構成の特徴について探索を進める。細菌構成に加え、細菌群集の機能的特徴についても検討するため、その他のオミクス解析の使用についても検討する。
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Causes of Carryover |
倫理診査および解析系の確立に時間を要したため確保できた研究協力者人数が予定より少なかったこと、さらに細菌群集解析完了検体もその一部に留まったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細菌群集解析の際に使用するDNA抽出関連試薬、PCR関連試薬、シーケンス関連試薬に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)