2016 Fiscal Year Research-status Report
再生歯肉による歯肉溝モデルの開発:動物実験に代わる前臨床研究
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16K15858
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
八重垣 健 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40166468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 とも子 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (70307958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Red complex / バイオフィルム / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目的は、本疾患と強い関連があるRed complexの3菌種とバイオフィルム形成の土台となるS. gordonii(S.g) DL1株を用いて、歯根上へのバイオフィルム形成を試みることである。 使用菌株はPorphyromonas gingivalis(P. g)ATCC33277株、Tannerella forsythia (T. f) ATCC43037株、Treponema denticola (T. d) ATCC35405株とS. gある。バイオフィルム形成には、TYGVS 培地を基本とする液体培地に0.1% acetylmuramic acidを添加し、4菌種共通の培地を調整した。バイオフィルム形成は、ヒト唾液を用いて人工的にペリクルを付着させたヒト歯・歯根部から切り出した切片(被験切片)上に行った。 実験方法は、はじめにODを1.5に調整したS.g懸濁液を、被験切片が設置された容器内に満たし、24時間培養した。次いで懸濁液を除去し、各ODを1.5に調製したP. g、T. fとT. d懸濁液を被験切片が設置された容器内に入れ、さらに嫌気条件下(90%N2、5%CO2)で24時間培養した。これらの条件と比較検討するために、ぺリクル加工無、S.g 培養無と条件を変えた実験も行った。バイオフィルムの観察はSEMにて行った。 SEM観察の結果、4菌種すべてが歯根面上に付着し、バイオフィルム形成が確認された。S.g 培養無では、P. g のみ少数の付着がみられ、ぺリクル加工無、S.g培養有でも4菌種が確認された。以上のことから使用した4菌種(P. g、T. f、 T. dとS.g)でのバイオフィルム形成が可能であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Porphyromonas gingivalis (P. g) をはじめとする歯周病原菌の大量培養は極めて難しい。そのため人工口腔装置を使用した培養が非常に困難となっている。したがって、現在は嫌気ボックスのシャーレ内でRed complexの3菌種を用いて、歯根上へのバイオフィルム形成を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も人工口腔装置を使用できるように、Red complexの3菌種の大量培養を試みながら、現在行っている嫌気ボックスのシャーレ内でRed complexの3菌種を用いた歯根上のバイオフィルムを用いて、バイオフィルムの形成抑制または分解促進の効果のある成分を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
菌叢分析を行う予定であったが、サンプル数が多いほどコストが抑えられるため、次年度にまとめてより多くのサンプルを分析することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに、菌叢分析を行う工程に入っており、近日中にサンプルの準備が調う予定である。この結果により形成したバイオフィルムの菌叢を把握することができ、より実験目的に適したバイオフィルムに調整することができる。
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