2016 Fiscal Year Research-status Report
創薬ターゲットとなり得るP. gingivalisのフッ化物輸送タンパクの解明
Project/Area Number |
16K15860
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
村田 貴俊 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10313529)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / フッ化物 / フッ化物輸送タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ化物は、微生物の生存に必要な酵素、エノラーゼ、を強力に阻害する抗菌物質であるが、多くの微生物がフッ化物耐性を有する。フッ化物耐性に寄与するフッ化物輸送タンパクをコードする遺伝子は主にcrcB 遺伝子で、少数の微生物に変異型 eriC(eriCF)遺伝子が存在する。しかしながら、歯周病の代表的な病原微生物であるPorphyromonas gingivalis(P. gingivalis)にはどちらの遺伝子も存在しない。本研究課題では、P. gingivalisに存在が予測される新規のフッ化物輸送タンパク発見を目的とする。 当該年度では、フッ化物耐性遺伝子を破壊した大腸菌に対して、P. gingivalisに存在する塩化物イオンチャネル遺伝子で形質転換し、フッ化物耐性能の回復を評価した。これは、塩化物イオンチャネル遺伝子がStreptococcus mutansに存在するフッ化物イオンチャネル遺伝子と相同性が高いためである。しかしながら、P. gingivalisの塩化物イオンチャネル遺伝子での形質転換では大腸菌のフッ化物耐性は回復せず、P. gingivalisの塩化物イオンチャネルはフッ化物輸送タンパクではないと結論づけた。次に、 crcBタンパク質に共通に保存 されているアミノ酸配列(GFCGGLTTFSTFSAE)と相同の配列を含むタンパク質をコードする遺伝子のうち、3つの遺伝子で同様に大腸菌の形質転換を行ったが、大腸菌のフッ化物耐性は回復せず、いずれの遺伝子もフッ化物耐性遺伝子ではないと結論づけた。 今後は、引き続きフッ化物耐性候補遺伝子探索を行う。また最近、他の微生物でcrcB遺伝子の近傍に存在するフッ化物耐性に関与する遺伝子群が報告された。これら遺伝子と相同の遺伝子をP. gingivalisで検索し、フッ化物耐性遺伝子探索に役立てることも計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度中に、Porphyromonas gingivalisのフッ化物耐性候補遺伝子を確定し、次年度に行う遺伝子破壊株作成準備に取り掛かる予定であったが、フッ化物耐性候補遺伝子の確定に至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きフッ化物耐性候補遺伝子探索のため、フッ化物耐性遺伝子を破壊した大腸菌に対するPorphyromonas gingivalis(P. gingivalis)遺伝子による形質転換とフッ化物耐性回復評価を行う。また、他の微生物ではあるが、crcB遺伝子の近傍に存在するフッ化物耐性に関与する遺伝子群が報告された。これら遺伝子群に含まれる遺伝子と相同のP. gingivalis遺伝子を検索し、これらの遺伝子を足がかりにフッ化物耐性遺伝子同定につなげる方策も検討中である。
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Research Products
(1 results)