2016 Fiscal Year Research-status Report
エンド・オブ・ライフケアにおける在宅・特養での死亡確認をめぐる問題の所在と検討
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16K15862
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾崎 章子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30305429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 佐和子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30186142)
川原 礼子 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (40272075)
山本 則子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (90280924)
西田 幸典 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (50464714)
齋藤 美華 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (20305345)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 死亡診断 / 死亡確認 / 在宅 / 特別養護老人ホーム / エンド・オブ・ライフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、在宅ならびに特養での死亡診断・死亡確認に関する文献レビューを行った。医師が患者の側に常駐していない在宅・特養では、死亡から診断までにタイムラグがあり、現場の対応が混乱していること、医師法第20条の解釈が明確でないうえに、「呼吸停止確認」「心肺停止確認」「死亡確認」「死亡診断」「診断書の交付(発行)」など死亡確認・死亡診断にまつわる用語が様々あり、用いられ方は多様で、定義が曖昧であることが明らかになった。そこで、死亡から診断のプロセスにまつわる用語をとり上げ、医事法学的な見地からそれらの定義について検討を行った。 これらを踏まえ、医師が常駐していない在宅・特養における看護師による死亡確認の問題の所在について検討した。看護師が患者の死の兆候を観察した後、死亡と確認(判断)し、ケアを行い、医師が死亡診断書を交付するまでの対応が実際どのように行われているのかは明確でないことが明らかとなった。特に、看護師による死亡確認の具体的な困難点として、①保険の手続や相続の発生等、法的に重要な時間が絡んでいること、②生と死の連続線上において、死の促進に関与しないような対応が求められること、③事件性の判断、などがあげられた。内閣府および厚生労働省において規制緩和が検討される中、看護師が医師や関係職種と協働しながら、どのように対応することが患者の尊厳を担保し、安楽を向上させることにつながるか明らかにする必要がある。 在宅と特養では、人的・物理的条件が異なるため、まず在宅から調査を進めた後に、特養について検討することとなった。地理的な条件において医師が直ちに駆けつけることができない場合にどのような対応がされているのかを明確にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画では、平成28年度は在宅および特養における臨死期、とりわけ呼吸停止から診断までの一連のプロセスを調査し、課題を明らかにする予定であった。しかし、内閣府の「規制改革会議 規制改革に関する第4次答申」(平成28年5月19日)において、受診後24時間を経過していても医師の対面での死後診察によらずに死亡診断書を交付できる条件が示された。本答申を受けて厚生労働省では、平成28年11月から「ICTを利用した死亡診断に関するガイドライン策定に向けた研究」班会議が開催されている。本研究班の動向を勘案しつつ、現状を明らかにするという当初の研究計画を見直す必要性が生じたため、やや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
将来の規制緩和において、患者およびその家族の尊厳を守り、安楽でより質の高いエンド・オブ・ライフケアを提供するために、看護師が死亡診断という局面でどのようなケアを行い、さらにどのような条件が整えば、より質の高いエンド・オブ・ライフケアが行えるかについて研究をすすめる。具体的には死亡確認に関する医師・看護師間の協定書(案)を作成する。
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Causes of Carryover |
申請時の計画では、平成28年度は在宅および特養における臨死期、とりわけ呼吸停止から診断までの一連のプロセスを調査し、課題を明らかにする予定であった。しかし、内閣府の「規制改革会議 規制改革に関する第4次答申」(平成28年5月19日)において、受診後24時間を経過していても医師の対面での死後診察によらずに死亡診断書を交付できる条件が示された。本答申を受けて厚生労働省では、平成28年11月から「ICTを利用した死亡診断に関するガイドライン策定に向けた研究」班会議が開催されている。本研究班の動向を勘案しつつ、現状を明らかにするという当初の研究計画を見直す必要性が生じたため、インタビュー調査が実施できなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は繰越額を使用して訪問看護師を対象にインタビュー調査を行う。
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Research Products
(8 results)