2016 Fiscal Year Research-status Report
レジリエンス・プロセスモデルに基づく医療安全のゲーミングシミュレーション法の開発
Project/Area Number |
16K15870
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兵藤 好美 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (90151555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 共子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
柘野 浩子 新見公立大学, 看護学部, 講師(移行) (00613910)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゲーミングシミュレーション / 医療安全 / 意識変容 / アサーティブ / コミュニケーション / エラー防止 / レジリエンスエンジニアリング / 振り返り |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、想定外の事態への柔軟な対応力を事故防止の鍵とみる「レジリエンスエンジニアリング」を具現化することであった。また、心理教育としての緻密な構成と効果測定法、介入実践の縦断パラダイムでの検証を整え、評価-体験-訓練の多層構造で、徹底した新たな医療安全教育体系を提案することを目指していた。 《平成28年度》の目標は、「特性ゲーム」の充実化に焦点を当てて、構造化を目指すことであった。<ゲーム試行: 学内1> 事例構造と背景要因を模してエラー発生を疑似体験するゲームとして、先輩看護師への声かけや質問等の要素を取り入れた薬剤選択の「ゲーミングシミュレーション」(以下,ゲームと略)を試み、ゲーム実施による看護学生の「医療安全に対する意識変容」について明らかにし、加えてアサーティブなコミュニケーションが薬剤選択に与える影響についても、検証を行った。その結果、ゲーム実施による「医療安全の意識」変容が明らかになった。 さらにゲーム実施は、医療事故防止対策への動機づけ,エラー防止の知識獲得,エラーを起こす可能性への喚起に繋がったことが示唆された。<ゲーム試行:学内2 >ゲームのおける不成功体験者については、実施後に対策を加えたゲームを再体験させ、対策の有効性に気づかせる試みも行い、今後の自信に繋がったとの感想が聞かれている。<ゲーム試行:学外>臨床Ns48人を対象とする研修において、薬剤選択ゲームと講義と振り返りをセットに、研修プログラムを試行した。その結果、ゲームの正解率は25%であった。その中でも全問正解のNsがいることが分かり、正解に至った要因を聞き出すことに成功した。このことは「レジリエンスエンジニアリング」具現化のヒントに繋がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<目標>は、エラーに関わる個人の心理特性を取り上げた「特性ゲーム」と、エラー誘因に満ちた環境を体験する「状況ゲーム」を実施することであった。H28年度は「特性ゲーム」の充実化に焦点を当てて、構造化を目指してきた。ゲームの実施については、予定通りに進んでいる。また研修におけるゲームの振り返りにおいて、予想外の「レジリエンスエンジニアリング」具現化へのヒントも得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度の実施予定として、【教材】1)DVDゲームのビジュアル教材を作成 2)マニュアルゲームの手順リストと教示文の用意が挙がられていたが、この点についてはまだ着手できていない。その理由として、実験計画と結果の乖離があり、ビジュアル化までには至らないことにある。計画と結果乖離の原因の一つとして、参加人数が少ないことが挙げられるため,今後は人数を増やしての実験を試みたい。 さらに今後の目標として、「状況ゲーム」に焦点を当てて構造化した内容を、一部病院で試行することになっている。そこでフィールドを病院(病棟)へ移し、継続して「レジリエンスエンジニアリング」具現化への確証を得るためのゲーム(実験を)進めていく予定である。
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Research Products
(15 results)