2017 Fiscal Year Research-status Report
レジリエンス・プロセスモデルに基づく医療安全のゲーミングシミュレーション法の開発
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16K15870
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兵藤 好美 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (90151555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 共子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
柘野 浩子 山陽学園大学, 看護学部, 教授(移行) (00613910)
山本 恵美子 宮崎大学, 医学部, 講師 (50464128)
中村 美枝子 流通経済大学, 社会学部, 教授 (30207922)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゲーミングシミュレーション / 医療安全 / レジリエンス / プロセスモデル / 看護学生 / 成功体験 / 黙従性 / 経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は ,「レジリエンス・プロセスモデルに基づく医療安全のゲーミングシミュレーション法の開発」において,看護学生を対象とした薬剤選択のゲーミングシミュレーション(以降ゲームと略)を行い,ヒューマンエラーが医療安全に与える影響について検証を試みた。加えてゲームにおける成功体験学生に関し,成功に結びついた理由について調査を行った。 【方法】1. 調査対象:A大学看護学専攻の現役3・4年生50名 2. 調査時期:平成29年9月15日 3. 実施内容:被験者へ指示書を渡し,3種類の薬剤を20秒以内に選択させた。また時間切迫を促すために,3グループでチーム戦を行わせた。その後,ゲームでの体験等についてディブリーフィングを行った。 加えて後日,正解率の高かった2名について,成功の要因や背景に関する聞き取り調査を行った。 【結果及び考察】薬剤を正確に選択できた者の内,1種類の正解者は50名中7名(14.0%),2種類の正解者は2名(4.0%)であり,3種類の正解者はいなかった。予想以上に正解率が悪かったことについて,間違いやすい表記や時間切迫等の環境下では,人はエラーを起こしやすいことが示唆された。不正解者は理解していないことでも,指示があればその通り行動する傾向がみられた。この黙従性は医療事故防止の観点からは非常に危険であり,今後,対象者への啓発や対策を行っていく必要がある。正解者は不正解者よりも作業に集中し,薬剤と指示簿を確認することを意識し選択していた。なお,成功体験学生のインタビューの結果,1名はアルバイト経験があり,薬だしの際に看護師から「時間がかかってもいい,薬剤の数・種類・患者の名前をしっかり確認するよう」言われていた。もう1名はアルバイト経験はないが名前が違ったため,他もひっかけがあるのではないかと予測したことが成功に繋がったことが,明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、「レジリエンス・プロセスモデルに基づく医療安全のゲーミングシミュレーション法の開発」において、看護学生を対象とした薬剤選択のゲーミングシミュレーション(以降ゲームと略)を行い,ヒューマンエラーが医療安全に与える影響について検証した。加えてゲームにおける成功体験学生に関し、成功に結びつく秘訣についても検討を行うことができたことから、概ね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
基盤モデルにおける 個人とチームと環境レベルの情報伝達, 知覚スキル,および自己点検教育の開発を行う予定である。 <目標>本年度は、ゲームを組み合わせて実施するモザイクプログラムを作成する。 【①教材】・【②試行】基盤モデルの構成単位ごとに、各ゲームの教育効果を評価し、弱い部分を補強する追加ゲームと教材を作成。基盤モデルの焦点部位に対応させながら、教育意図に合わせたゲームの組み合わせパターンを作り、総合研修プログラムを整備。対応する評価尺度も整備。加えて医療現場の広域適用を促すため、専門職研修版のシステム開発を行う。実践の成果は、HPで公開を継続する。【③実験】認知行動的評価の技法で、新人とベテランNsのリスク事態の対応を比較。事故防止要素(ストッパー)を抽出。【④検証】総合測定尺度を整備。【⑤調査】エラーは個別性や多様性が大きい。エラー体験後、それらを踏まえた事故防止要素の対策ゲームを作成・再体験させた後、医療現場でのゲーム実施効果を縦断的に調査する。
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Research Products
(3 results)