2017 Fiscal Year Research-status Report
感性デザインに基づくカスタマイズ可能な高齢者向けパンフレットの開発
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16K15879
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
片岡 純 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70259307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 章 拓殖大学, 工学部, 教授 (40244975)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 感性デザイン / 高齢者 / がん / パンフレット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はがん治療の中でも特に自律したセルフケアを必要とする外来化学療法を受ける高齢がん患者を対象とした感性デザインに基づくパンフレットを作成しその評価から、多くの病院でカスタマイズ可能なパンフレットの原案を開発することである。 研究方法は、まず、現状のパンフレットのデザイン上の問題点の明確化であり、調査協力施設で使用されている外来化学療法を受けるがん患者向けの3種のパンフレット(「静脈注射を受ける患者様へ」「静脈注射に伴う合併症」「皮膚障害に対するケア」)を基に、現状のパンフレットのデザイン上の問題点を明確にする。パンフレットの問題点については、感性デザインの専門家(共同研究者)によるスーパービジョンを依頼しており、平成30年の6月末には結果が出る予定である。そして感性デザインの観点から、高齢者の感性に特化したパンフレットに含まれるべきデザイン要素を検討する。 次に、高齢者の感性に特化したデザイン要素を踏まえ、外来化学療法を受ける高齢がん患者のセルフケア能力を高めるためのパンフレットを作成する。感性デザインの専門家にパンフレットの作成を依頼しており、平成30年の6月末には完成する予定である。パンフレット完成後、外来化学療法を受ける高齢がん患者ならびに外来薬剤師と化学療法室の外来看護師によるパンフレットの評価を行う予定である。なお、研究計画について研究者の所属する大学の倫理審査を受け、承認を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は感性デザインに基づく高齢者向けのパンフレット作成に向けた準備を行った。高齢者向けパンフレットのプロトタイプを示し、調査施設の協力同意を得た。調査施設から日常的に使っているパンフレットの提供を受け、現在、高齢者向けとしての問題点の明確化とパンフレットの作成を行っている。開始当初の計画からは進度が遅れているものの、調査のめどはついておりおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
調査施設の外来化学療法センターに化学療法を受けるために通院しているがん患者で研究協力に同意が得られた者40名程度を対象としパンフレットの評価を行う。患者による評価は、「全体的な見やすさ」「文字の読みやすさ」「デザインの親みやすさ」「内容の理解のしやすさ」「興味のひかれやすさ」について5段階評価と対象者属性の質問紙とする。通常診療の外来化学療法を受ける経過の中で、パンフレットを用いた教育を必要する患者に対し、外来化学療法室の面談室で共同研究者が研究協力依頼文書を用いて研究協力依頼を行う。同意が得られた患者に対し、新しく作成したパンフレットを使用して教育を行う。その後、新しく作成したパンフレット、従来のパンフレット、評価のため質問紙、返信用封筒を手渡す。対象者には、新しく作成したパンフレットと従来のパンフレットを両方読み、見比べた結果の評価を質問紙に記入するよう依頼する。そして、質問紙を郵送で研究代表者あてに無記名で返送しもらう。新しく作成したパンフレットと従来のパンフレットに関する評価(5項目、5段階評価)の基本統計量(平均値、中央値)の算出と、2群の比較(Mann-Whitney’s U)を行う。 また、外来化学療法室の外来看護師を対象とした評価を行う。調査内容は、従来のパンフレットと新しく作成したパンフレットを比較し、新しいパンフレットの良い点、改善が必要と考える点について自由記載の質問紙調査を行う。新しく作成したパンフレットを用いた教育を開始する時期に、外来化学療法室の看護師に対して、共同研究者から、研究依頼文書を用いて研究協力の依頼を行う。同意が得られた対象者に両方のパンフレットを読み比べてもらい、新しいパンフレットの良い点と改善が必要と考える点について記載してもらう。記載内容を内容分析で整理する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は調査の準備が主で、実施にかかる費用が生じなかったため、物品費の使用が少なかった。平成30年度は調査を実施するための物品費、交通費、調査成果公表のための旅費などが生じる予定である。
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