2016 Fiscal Year Research-status Report
段ボール離被架とカプサイシンジェルを用いた睡眠導入効果の検証
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16K15885
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
藤野 靖博 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (20405559)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 睡眠導入 / カプサイシン / 段ボール離被架 / ストレス耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
国民の5人に一人が眠りに何らかの問題を抱えていることが明らかとなっている。睡眠障害は現代社会において大きな問題である。さらに、近年は東日本大震災に代表される大規模自然災害が各地で発生し、避難所での生活を余儀なくされるケースがある。この場合、急性ストレス障害や生活が元に戻るまで住み慣れない場所で眠る必要があるため、睡眠障害のリスクが非常に高まる。今回の研究では、災害時も視野に入れて眠りを導く手法を開発することを目指し、カプサイシン入りジェルと段ボール離被架を用いた実証実験を中心に進めている。 段ボール離被架内の空間の広さの違いにより、末梢血管からの熱放散が促進される時間が異なる可能性が高いため、カプサイシンジェルと①大段ボール②中段ボール③小段ボール④段ボール離被架を使用しない(コントロール群)の4種類で実験を行っている。現時点では明らかな差を示す段階にまでは至っていないが、今後、被験者数を増やして検証を進めることにより、段ボール離被架内の空間の広さと末梢皮膚温の相関関係を明らかにすることができると考えている。この検証ができれば、より睡眠導入効果を得られ、実用的な段ボール離被架の開発につながると考える。 一方、ストレス耐性の違いにより、自律神経支配特に交感神経支配を受けている動静脈吻合の開閉に伴う末梢血管の拡張性に違いがある可能性が考えられため、この点についても検証を進めている。ストレス耐性は人それぞれであり、ストレス耐性の違いによる睡眠障害の発生状況や、不眠改善の方法にも違いがある可能性がある。現時点ではストレス耐性の違いによる末梢血管拡張性の明らかな違いを示す段階にまでは至っていないが、今後、被験者数を増やしてさらに検証を進めていくことにより、ストレス耐性の高値群と低値群に対してカプサイシンジェルと段ボール離被架を用いたときの睡眠導入効果の違いを明らかにできると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、実験的検証を行うため、実験に必要な備品やそれに付随する物品が必要となる。皮膚表面の温度勾配を測定するため、皮膚温度計、また測定したデータをアナログからデジタルデータに変換し、パーソナルコンピュータに取り込むためアナログ-デジタルデータ変換システムを使用する。睡眠状態への移行に関しては、脳波と眼球運動の計測を行い、睡眠情報を得るための機器を使用する。これらの機器を科学研究費の予算内で、研究目的により合致するように選定するため、機器メーカーとの打ち合わせから選定、納品までに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
段ボール離被架の空間の広さの違いによる末梢血管からの熱放散が促進される時間の差について、ストレス耐性の違いによる自律神経支配特に交感神経支配を受けている動静脈吻合の開閉に伴う末梢血管の拡張性の差について、今後被験者数をさらに増やし、検証を進め、カプサイシンジェルと段ボール離被架を用いた睡眠導入効果の検証を引き続き行っていく。平成28年度に機器メーカーとの詳細な打ち合わせを行い研究目的に合致した機器を科学研究費内で選定することができ、研究を遂行する環境が整ったため、今後はより効率的に実証実験を進めていくことができると考える。
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Causes of Carryover |
物品購入に微細な差額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の科学研究費と合わせて、カプサイシンジェルと段ボール離被架を用いた睡眠導入効果の検証に使用していく。
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