2017 Fiscal Year Research-status Report
看護系大学の臨地実習における合理的配慮の構造化とFD・SDプログラム開発
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16K15888
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
飯岡 由紀子 埼玉県立大学, 大学院保健医療福祉学研究科, 教授 (40275318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 純子 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (30344972)
吉本 照子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (40294988)
遠藤 和子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (80307652)
松岡 千代 佛教大学, 保健医療技術学部, 教授 (80321256)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 看護学 / 臨地実習 / 合理的配慮 / Faculty Development / 実習指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「臨地実習担当教員が臨地実習の合理的配慮に関して抱く困難とその対処」の質的研究:臨地実習で教育を担当する教員が、障害のある学生もしくは障害の特徴をもつ学生への実習指導を思い起こし、困難を抱いた事象とその対処を明らかにするため、半構造的面接による質的研究を行った。対象者8名の逐語録から個別分析が終了した。今後は統合分析を行う。困難感を抱く状況と比較的困難感を感じない状況があり、それらをふまえて実習前、実習中、実習後の時期ごとに構造化する予定である。これらの分析により、障害のある学生もしくは障害の特徴をもつ学生の臨地実習における組織的支援のあり方について考察する予定である。 2.臨地実習において障害のある学生もしくは障害の特徴を有する学生の指導者へのFD・SDプログラムの検討:FD・SDプログラムはレベルⅠ、レベルⅡ、レベルⅢの内容と方法を検討した。レベルⅠとレベルⅡのFD・SDプログラムは4大学と1専門学校と1協会にて試行した。プログラムは、担当教員だけでなく、臨床指導者にも関心が高い内容であり、満足度が高く、概ね好評だった。一方で、プログラム受講者の特性や開催時間などから、プログラムの内容や方法を柔軟に調整する必要があった。これら試行を経て汎用性の高いプログラムとするため、必ず含めるべき事項と柔軟に対応できる事項の区別やプログラムの方法について更に洗練する予定である。 3.臨地実習における合理的配慮・教育上の調整の実際とFD活動状況の全国調査のための質問紙開発:看護系大学への質問紙調査のための設問項目を開発し、洗練している。設問内容には、大学組織としての取り組み(委員会の設置、カウンセラーや相談員の整備、教務委員会との連携などの状況)を尋ねる項目と、合理的配慮や実習指導の在り方に関するFDの実施状況などを含めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で予定していた質的研究は順調に分析が進行している。FD・SDプログラムは試行を重ねて、その効果も検討できている。質問紙を用いた全国調査は、質問紙の作成に時間を要しているが、次年度に調査が実行できる。以上の理由より、本研究はおおむね予定通りの進捗状況と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.臨地実習における合理的配慮・教育上の調整の実際とFD活動状況の全国調査:研究倫理審査の承認を得たのち、全国の看護系大学協議会加盟校277校の看護学部長もしくは看護学科長へ質問紙を郵送し、臨地実習担当教員に質問紙を配布していただくよう依頼する。回収したデータは集計結果を出し、臨地実習における合理的配慮・教育上の調整のあり方について考察する。このような全国調査はこれまで行われていないため、調査結果は、即座に関連学会にて発表し、研究成果の普及に努める。 2.専門家会議の開催:プログラムの目的や構成や方法について、障害学の専門家、教育学の専門家、障害をもち臨地実習の経験をもつ当事者から、プログラムに対する意見交換の場として専門家会議を予定している。特に、当事者からは自身の経験をふまえ、プログラムに含めるべきと考える指導者に求める態度・知識について意見をいただく予定である。 3.FD・SDプログラムレベルⅢの試行:プログラムの内容や方法の概要は開発できている。今後は、詳細なワークシートやスケジュールなどを検討する。その際には、Faculty Developerとして活躍している教育学の専門家から、研修プログラム内容や方法やコンテンツに関する助言を得て洗練する。障害学の専門家からは、情報管理、学生の権利と患者の権利の統合など、障害者教育に関する内容について助言を得る。専門家会議をふまえ、FD・SDプログラムを完成させる。レベルⅢを試行する機会(看護系大学のFDなど)が得られるよう広報活動を行い、その機会が得られたら、実行可能性や満足度などを調査する。 4.学生支援センター・障害学生支援室への視察調査:障害のある学生へ組織的支援を行っている教育機関への視察と、担当者へのインタビューを計画している。特に、キャリア支援の現状や、受診につなげた事例などについて詳細に聴取することを予定している。
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Causes of Carryover |
次年度は、臨地実習における合理的配慮・教育上の調整の実際とFD活動状況の全国調査を実施する。調査の実施に際して、質問紙印刷代や郵送代が必要となる。更に、本調査に関する業者委託として、質問紙発送作業とデータ入力作業を予定しており、それらの経費も必要となる。 また、専門家会議の開催では、専門家への謝金や交通費が必要経費となる。FDプログラムレベルⅢの試行では、その広報活動ためのポスター作製費用や関連機関へのポスターや資料の配布費用が必要となる。更に。FDプログラムレベルⅢを試行する際には、協力大学への打ち合わせ費用、プログラム運用のための費用、交通費が必要となる。 学生支援センターや障害学生支援室の視察調査においては旅費などの費用が必要となる。 その他、定期的な会議開催のための費用や研究メンバーの旅費も必要経費である。次年度は最終年度となるため、報告書作成や印刷のための費用なども必要となる。
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Research Products
(10 results)