2016 Fiscal Year Research-status Report
看護の質の経済評価-看護活動が医療経営に与える影響の定量評価分析-
Project/Area Number |
16K15891
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Research Institution | Kaetsu University |
Principal Investigator |
眞鍋 雅史 嘉悦大学, ビジネス創造学部, 准教授 (20537071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 宗勝 嘉悦大学, 経営経済学部, 客員研究員 (10761257)
内布 敦子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (20232861)
坂下 玲子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (40221999)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 医療経営 / 看護の質 / 看護管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護の質の向上が病院経営や患者の経済的負担などに与える影響を統計的に捉え、産み出される経済的価値を定量的に評価することを目的とするものである。この目的を達成するため、平成28年度は、データの収集整理及び一次的なデータ解析を行った。 応募者たちは、これまで看護の質に関するデータを毎年度集積してきているが、平成28年度にこれまで収集してきているデータ項目に経営関連指標を追加した。ここでは、病床稼働率や平均在院日数などの病棟情報に加えて、看護師の平均年齢などの看護労働指標、医業収入や人件費等の財務指標の収集を試みた。財務指標については十分な標本数を確保することができず、この点の対応は平成29年度に行いたい。 平成28年度は、上記のデータ収集整理に加えて、得られたデータを分析可能な形式に加工し、一次的な分析を試みている。一次的な分析結果として下記が得られている。すなわち、看護の質評価におけるアウトカム指標(インシデント発生率)と看護労働指標の関係性を見てみると、病床あたりの看護師数は、転倒発生率や誤薬発生率を有意に引き下げるが、褥瘡発生率や院内感染発生率を有意に引き上げてしまう。また、看護師が正規職員であるかどうかについては、インシデント発生率とは統計的に有意な関係を持たなかった。また、経験年数や平均年齢といった指標も、有意な結果が得られていない。ただし、現状では分析モデルが非常に簡便であるため、変数同士の相関による多重共線性の問題などが排除できていない。この点について次年度以降に修正していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、収集したデータについて一次的な分析まで試みることができ、順調に進んでいる ただし、財務データを収集すべく実施した医療経営に関する郵送方式の追加アンケートについては、期待した十分な標本数が集まっていないため、追加的な調査が必要となる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度については、医療経営指標と看護の質との関連性について統計的検証を行う。 まず、上述したように財務データについては、郵送方式で実施したアンケートの回収率が悪く十分な標本数が集まっていない。そこで、直接聞き取りを行い、十分な標本数を収集する。 次に、すでに収集されている看護労働指標と看護の質指標との関係性については、一次的分析を発展させて、より精緻な分析としたい。一次的な分析では、看護の質指標のうちアウトカム指標との関係性について分析しているが、プロセス指標、ストラクチャー指標との関係性を分析する。また、分析方法についても現状では最小二乗法を適用しているが、より高度な分析手法を検討していきたい。 以上の取り組みによって成果を取りまとめて生きたい。
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Causes of Carryover |
財務指標に関するデータ収集(郵送方式によるアンケート)が、期待した回収率が得られていない。そのため、これらの収集および分析のための費用を繰り越している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり、データの追加収集・整理のための費用に加えて、それに関連する研究打ち合わせ、ヒアリングのための旅費に充当する。
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Research Products
(1 results)