2017 Fiscal Year Research-status Report
新人助産師のクリニカルラダー習熟プロセスに関するモデル開発
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16K15897
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
下見 千恵 広島国際大学, 看護学部, 教授 (80300424)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 新人助産師 / クリニカルラダー / 研修 / 新卒 |
Outline of Annual Research Achievements |
新人看護職員の卒後教育は,少子・高齢・多死という人々の健康を取り巻く現状の変容を背景に充実が図られている。新人看護職員研修が努力義務化され,そして2016年には「看護師のクリニカルラダー」が日本看護協会から公表された。助産師の新人教育においては新人助産師に特化した研修がプログラムされている。すでに2012年「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)」が公表されている。これらのクリニカルラダーは看護職の実践能力を育てるための内容が段階的に示され,新人から継続性をもったラダーとなっている。 そのクリニカルラダーのスタート地点に立つ新人看護職たちが,どのようにそのプログラムを進めているのか,心理的変化や職務上の発達状態について,調査を進めた。前年度に引き続き,就業後1年未満の新人助産師を対象にインタビュー調査を行い,クリニカルラダー到達上の困難さ,乗り越え方等について,分析と検討を重ねた。 これまでのデータにさらに対象者を加え,合計13名の新人助産師へのインタビューを終えた。データを助産学または母性看護学分野の研究者3名で帰納的分析手法を用い,分析した。「つらい時期」「回復した時期」は,個人によって異なり,前年度の分析結果と同様であった。 「つらい時期」「回復した時期」それぞれに「関係した要因」についても傾向は同様であった。つらさを感じる理由には,“業務の独り立ち”“夜勤の開始時期”といった業務に関する内容や“仕事がうまくできない”といったできない自責感などであった。一方,“先輩によって指導内容が違う”という戸惑いや“人間関係”“体力・疲労”といった新たな内容も抽出された。 「回復に関係した要因」でも前回データ分析結果と同様の因子が抽出され,傾向としては大きな差は生じなかった。しかし,つらさを感じる要因と同様に,少数意見であるが新たなカテゴリーも見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画では,質問紙の作成とそのプレテストを完了し,修正に至る予定であったが,前年度の遅れ(体調不良による)から計画が後ろにずれ込み,プレテストに至っていない。しかし,質問紙の作成のためのデータ集積については,一定の成果が得られた。前年度から引き続き,研究対象者である新人助産師の被験者数を増やし分析した。新人助産師のクリニカルラダーを進めるステップ上の「つまづき」と「乗り越え(克服)」の機会や要因について,新たな因子を見出すことができた。質問紙作成に向けたデータの集積はできたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューで得られたこれまでの結果をもとに質問票を作成につなげていく。今年度の計画であった質問紙の作成とプレテストを実施する。プレテストを踏まえ,妥当性を検証しながら質問紙の修正を図る予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)国際学会での資料収集を計画していたが,開催国の近隣情勢不安定のため見送った。また,初年度の体調不良(入院加療)により研究計画に遅れが生じており,研究費の執行に至らなかった。研究遂行状況により適宜執行していく。 (使用計画)資料収集のための調査研究旅費,当初の予定であるデータ収集後の資料整理(人件費)および成果発表に執行予定である。また,進捗状況によって分析用のソフト等の購入を検討する。
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