2016 Fiscal Year Research-status Report
ターミナルケア体験を学習へ転換する看護師支援プログラムの開発
Project/Area Number |
16K15909
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
浅野 美知恵 東邦大学, 健康科学部設置準備室, 教授 (50331393)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ターミナルケア / 看護学 / がん看護 / 学習 / 経験 / 転換 / 教育プログラム / 臨床教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護師のターミナルケア体験を学習へ転換する支援プログラムを開発することである。支援プログラム考案に向けて、本年度は、ターミナルケアにおいて看護師が体験した出来事に関する調査と文献検討・関連学会等での情報収集を実施し、以下の成果を得た。 1.看護師への面接調査 学内の倫理審査委員会の承認と3施設看護部の協力を得て開始した。対象者1名(看護師経験年数11年、専門看護師資格あり)の面接内容を分析した結果、ケアの揺らぎや感情の変化をもたらしたのは、患者や同僚などの言動によるケアへの問題意識、向き合わざるを得なかった自分の価値観などであり、影響要因には、経験、学びから身につけた看護実践力などであり、支援は気軽に話せる相談役の存在などであった。スタッフ間の共通理解の過程には、体験をリフレクションする態度、自身の立場や役割意識などが影響することが明らかとなった。 2.文献検討・関連学会等での情報収集 医療者の抱えるグリーフ・不全感・トラウマなどターミナルケアの現状と、コミュニケーションの実践方法、LCP日本語版などケアの質向上に関する内容の把握、命にいかに寄り添うか、医療の成果指標などケアの考え方に関する示唆を得た。また、心理学、教育学、医学、人材開発・人材育成、交渉術、組織経営、臨床教育、看護理論の実践的枠組みなど多分野から学習支援に関わる以下の情報や知見を得た。気づく力の構造、感情への対応、情報の適切な意味づけ、行動を規定する意思決定、話す技術や聞く技術、アイデンティティの関与、目標と目的を区別し鷹の目と蟻の目を意識するPDCAサイクル、心の整え方などが重要となる。臨床教育ガイド・スキルでは、リフレクション、倫理面のチェックを含むreflexivity(再帰性)などに着目する。さらに、テクノロジーの活用は看護の過程として人を知ることやケアリングとしての技術力に関わる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初28年度の計画は、面接調査を実施し分析まで行う予定であったが、倫理審査に時間を要したことで協力者募集の開始時期が遅れたことが影響し、当初の面接調査の規模に至っていない。一方、情報収集を進め、ターミナルケア、学習などの情報と知見を蓄積していることから研究の達成度は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本面接調査は追加で3グループ程度を目途に平成29年度も継続して実施する。一方、看護師の学習支援方法の調査を進め、文献検討・情報収集した内容と併せて考察し、これらの結果と昨年度の結果を総合して、ターミナルケア体験を学習へ転換する看護師支援プログラムの検討を進め、考案する。さらに、検証の準備を進め、研究協力施設及び研究協力者との調整を行う。
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Causes of Carryover |
当初28年度は、倫理審査に時間を要したことで面接調査の協力者募集開始時期がかなり遅れたため、当初の面接調査の規模に至っていないことが、人件費・謝金等の使用額に影響した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度は、面接調査を継続し、学習支援方法に関する調査、情報収集に使用していく予定である。
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