2017 Fiscal Year Research-status Report
世代間アンビバレンス概念から分析する育てにくい子どもをめぐる家族保健機能の構造
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16K15925
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 あけみ 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90273507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 良太 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40794037)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家族 / コミュニケーション / 育児困難感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究第一段階での10組のペア(実母・義母・夫などと産後1ヶ月の母親)へのインタビュー結果を学術会誌において発表した。さらに、産後1カ月の母親の育児困難感と家族保健機能のなかでも家族コミュニケーションに焦点をあてて自己記入式調査票の実施した。産後1カ月健診に来院した母親に2017年2月-7月の期間に500名に依頼した。回収数496名(回収率99.2%)から協力が得られ基本的な解析を実施した。 有効回答数378名(有効回答率76.2%)を分析対象とした。属性は、年齢34.3±4.4歳(初産33.5±4.8歳、経産35.0±3.9歳)、初産192名(50.8%)、帝王切開127名(33.6%)、大卒以上239名(63.2%)、実家への里帰り184名(48.7%)であった。 単変量解析の結果、育児困難感は、大卒以上(P<.01)が有意に高く、EPDS(P<.01)、Difficult baby(P<.01)、JIAT(P<.01)、FAD-GF1(P<.01)、FAD-GF2(P<.01)で正の相関があり、得点が高いと有意に高くなる傾向が見られ、経済状態で負の相関があり、有意に低くなる傾向が示唆された。重回帰分析の結果、調整済みR2=.458となり6項目得られた。産後1ヵ月の母親の育児困難感は、家族コミュニケーションの友人対面と実母通話での得点が高いことが、より低い育児困難感に関連し、またEPDS、Difficult baby、FAD-GF2(生殖家族)、JIATの得点が高いことが、より高い育児困難感に関連していた。 友人との対面や実母との通話の利用が多いほど育児困難感が低くなっていた。産後1カ月は自宅安静だが、家族外部の友人と対面で育児相談や情報交換し、家族内部の実母と通話することで、家族コミュニケーションが豊かとなり家族システムの安定化への寄与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた質的・量的なデータ収集を今年度内でおおむね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、詳細な解析を実施し、次年度以降に学術会誌での発表、また現時点でのデータ解析を基に、妊娠中から育児支援を行うため、産後の家族コミュニケーションに対して保健指導に用いる、配布用パンフレットを作成の予定である。
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Causes of Carryover |
データ収集をおおむね完了しているものの、解析結果の学会発表および学術誌への投稿は、今年度内に実施できなかったため次年度に取り組む予定である。
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