2016 Fiscal Year Research-status Report
助産師を中心とする地域での妊娠・出産ケア提供体制構築可能性の研究
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16K15930
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松井 三明 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 准教授 (00285115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江藤 宏美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (10213555)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人口動態統計 / 医療従事者の偏在 / サービスの地域間格差 / 分娩施設の集約化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦では出産する施設を探すことが困難になっている。その背景には、産科医療に従事する負担が医療者にとって過大であることが指摘できる。その対策として、出産を取り扱う医療施設を集約し、医療従事者、特に産科医師の配置を大規模化することが行われてきた。今後、分娩施設の集約化がさらに推進され、都市部への医療従事者偏在の加速が予想される。それは、地方部・郡部に住む女性にとって、妊娠・出産・産後ケアなどの保健医療サービスを利用するために多大な時間・労力・費用を要し、種々の負担が増大することを意味する。しかし、妊娠・出産は、人類にとって普遍的かつ永続的に必要な営みである。その機会と公平性が担保されなくては、地方の過疎化、さらに日本の少子化傾向は避けがたい。 本研究では、長崎県を例にとって、出産の現状把握を人口動態統計と一次データの取得により行い、それを分析することによって妊娠・出産に関連するサービス提供機会を公平化するために、助産師が中心となって地域でサービス提供体制を構築することができないかを模索する研究計画とした。 具体的には、分娩場所と産婦の居住地をマッピングし、その物理的距離を算出、また標準的な妊婦健診回数を想定して妊娠/出産に要する費用と時間負担を求め、直接・間接費用を推計する。さらにこれを地理情報システム(GIS)を用いて負担の視覚化を行い、医療従事者/医療施設の最適配置を検討する。このように、本研究の特徴は,出産の状況を一次資料から明らかにし,さらに受益者負担を推計することで,サービス利用者の需要と負担を計量化し,それを最適化する観点から保健医療サービス提供体制再構築の手がかりを得ようとすることにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分娩情報を第一次資料として得る際に必要な関係者・関係団体への説明、同意を得る段階で時間を要した。そのため研究全体の進捗に遅れを来している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な研究計画に変更はない。 関係機関の基本的了解を得ると共に、人口動態調査出生票の分析をすすめ、当初の計画にあるように(1)妊娠・出産する女性の負担と地域間格差の現状を計量的に明らかにし、(2)直接・間接費用負担と将来の人口増減予測を基に,公平な妊娠・出産サービス提供のための判断基準を構築し、(3)その判断基準による施設・人員配置策定の妥当性を,複数サービス提供体制のシナリオで検討することを行う予定である。
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Causes of Carryover |
分娩情報を第一次資料として得る際に必要な関係者・関係団体への説明、同意を得る段階で時間を要した。そのため研究全体の進捗に遅れを来した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査に要する旅費・人件費の支出を第2年次に行うと共に、予定していた情報の取得、および調査と解析を計画的に推進する。
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