2018 Fiscal Year Research-status Report
母親役割をもつがんサバイバーが子供に病状説明をする際に生じる心理的葛藤と意志決定
Project/Area Number |
16K15933
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
栗原 明美 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (50464780)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩清水 伴美 順天堂大学, 保健看護学部, 先任准教授 (60516748)
樋野 興夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (90127910) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 女性がん患者の葛藤 / 母娘の関係性 / 気遣い |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年に引き続き、母親役割をもつがん患者とその娘を対象に、インタビューを行った。その際に得られた内容を質的に分析したところ、母親役割をもつがん患者の葛藤は、対人関係に関する4つのキーワードに集約されることが明らかとなった。1つは「自分自身に対する葛藤」であったが、他はそれぞれ「自身の娘に対する葛藤」及び「夫に対する葛藤」、「自身の母親に対する葛藤」という家族関係における3つの葛藤を抱えていた。 自身に対しては「死が近いことに対する諦め」と「もっと生きたいという希望」との間に葛藤があり、娘との関係においては、「がん患者である母親を労わらない娘に対する諦め」と「自身のことで娘の悲しむ姿を見たくないという気遣い」の間での葛藤があった。また夫との関係においては、特別な気遣いはなく、むしろ「夫には何も期待しないという諦め」の感情のみを持っていた。自身の母親との関係においては、「親にも体調不良を含めて弱音をはけないといった諦め」と「母親の前では体調が悪くても元気に振舞ってしまうといった気遣い」の間で葛藤を抱えていることが明らかとなった。 これらの結果から、母親役割をもつがん患者は自身の娘との間に葛藤を抱えているだけでなく、自身の母親との関係においても問題を抱えていることを示している。また、夫との関係も含め、「相手が自分についてどのように考え、感じているのかわからない」という、各々の家族成因とのコミュニケーション不足が一因であることが示唆された。 なお本研究の成果は、2019 GAP Conference(米国)及び MASCC/ISOO 2019(米国)での発表が予定されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
母親役割をもつがん患者の苦悩とその娘の苦悩をインタビューデータから分析した後、最終的に量的研究により、がん患者とその娘や母との関係性から、意思決定に影響を及ぼす心理的特徴を抽出する予定であったが、量的研究の準備不足及び、被験者確保の目途が付かず、前年度は開始できなかった。そのため、1年間の延長を申請している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、質的研究に値するアンケートの作成と被験者確保の上、実施、分析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
研究遂行に遅れが生じている。そのため今年度量的研究を行う予定と、その成果を発表するための資金が必要と考える。
|
Research Products
(2 results)