2016 Fiscal Year Research-status Report
初産婦のオキシトシン分泌促進プロジェクト「赤ちゃんにタッチでママになろう」の開発
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16K15939
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
堀内 成子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (70157056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 一之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (30226154)
八重 ゆかり 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (50584447)
周尾 卓也 聖路加国際大学, 研究センター, 主任研究員 (90399006)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 妊婦 / タッチ / オキシトシン / コルチゾール / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:乳児とふれ合う経験を持たない妊娠期の女性に対して行う,実際に乳児とふれ合う体験「Mama Touch プログラム」(以下,プログラムとする)の効果を,オキシトシンとコルチゾールを評価指標として実行可能性の検討を行う. 方法:介入群と対照群(風景の映像を視聴)の2群比較を行う。90分間のプログラムは,乳児とその母親の関わりを観察する部と,抱っこやあやすなど実際に乳児と関わる部から成り立つ。妊娠38週台と妊娠39週台のプログラムにおいて,研究開始前(Pre),研究開始後30分(Post 30),研究開始後60分(Post 60)の3時点で唾液を採取した.オキシトシン濃度の解析はENZO社のOxytocin ELISA kitを用い,コルチゾール濃度はSALIMETRICS社のCortisol Salivary Immunoassay Kitを用いて競合酵素結合免疫吸着測検定法にて行った.実行可能性は、実験プロトコールの実施,受容性,安全性の点から分析した. 結果:介入群5名、対照群5名から得られた69検体のうち オキシトシン45検体(65.2%),コルチゾールは全ての検体で解析できた.オキシトシン濃度は個人差が大きいものの,Pre,Post 30,Post 60の全ての測定時点で,介入群のほうが高い傾向であった.コルチゾール濃度は,妊娠39週台の研究前後で有意に低下していた.プログラムに参加することで負担感や困難感を訴えたものはおらず,プログラムに起因した感染症や有害事象も生じなかった. 結語:妊娠後期の女性を対象に,「Mama Touch プログラム」の前後でその影響を見る指標として唾液中オキシトシンおよび,唾液中コルチゾールを指標として測定することは、プロトコールの実施、対象の受容性、安全性の点から実行可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、①「赤ちゃんにタッチでママになろう」プログラムの開発を行った。②予備研究として、介入群と対照群を設け、プロトコールの実施、受容性、安全性の確認を行った。次への本研究計画書を倫理審査に提出した。
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Strategy for Future Research Activity |
予備研究の結果から、リクルート方法の改善、プログラムの教示や直接触れ合うことの誘導方法の改善、協力してくれる乳児と母親への教育、オキシトシン抽出不能検体をなくす為の改善を行う。また、対象者の基礎情報として、オキシトシンに関連した遺伝子多型の測定、心理社会的背景として被養育体験や不安状態、対児感情の尺度を追加する予定である。本研究として、介入群および対照群の2群比較の研究を行う予定である。評価指標としては、オキシトシン、コルチゾールを用いる。
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Causes of Carryover |
旅費を申請していたが、香港での学会発表日が、2017年3月10日で大学卒業式の日であり、公務を優先したため旅費の支出がなかった。オキシトシン抽出およびコルチゾール抽出の物品費が予定より安価であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は、本研究を予定している。2016年度の予備研究においては、遺伝子多型を測定していなかったが、本研究では対象者の背景として分析予定である。そのためオキシトシン関連の遺伝子多型解析のためのKITが必要になる。2群の介入群(40人)と対照群(40人)の比較研究を予定しており、生化学的分析に必要な物品、および対象者80人、プログラム実施協力母子40組への謝礼等を合わせ約120万円を予定しているため、研究費は使用予定である。また、予備研究の成果を公表する学会等で予定である。
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Research Products
(2 results)