2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15945
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
小幡 さつき 日本福祉大学, 看護学部, 助教 (50759991)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入山 茂美 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (70432979)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 自律性 / 助産師 / 専門職 / 尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の周産期医療の現場では、産科医師や産科施設の減少に伴い、助産外来や院内助産の設置が増加傾向で、自律して助産ケアを提供できる『アドバンス助産師』の活躍が期待されている。しかし、アドバンス助産師は専門職としての自律が求められるが、その自律性を測定する独自の尺度が存在しないため、助産師の自律性の形成や維持の状況把握が困難である。それ故、現在臨床では個々の助産師の自律性の形成状況にかかわらず、経験年数や分娩介助経験数などで助産師外来や院内助産所での職務に就くことを余儀なくされている。そこで、日本における助産師の専門職自律性の尺度を作成し信頼性および妥当性を検証することを本研究の目的とした。 平成28年度の研究実施計画としては、助産師の自律性の構成概念の明確化を目指し、国内外の文献検索・検討を行った。現在引き続き文献検討した内容等を含め、病棟管理経験者や助産教育に携わるスーパーバイザーとのグループディスカッションすることにより助産師の専門職自律性尺度」を作成し、パイロットスタディを実施する予定である。 平成29年度の研究実施計画としては、作成された「助産師の専門職自律性尺度」の信頼性・妥当性を検証するため、医療施設で働く助産師を対象に無記名自記式質問紙による調査を行う。また、承諾が得られた対象助産師に再テストを実施する。さらに、これらの結果を関連する学会への発表や雑誌投稿をする。 本研究の意義は、開発された助産師の専門職自律性尺度が教育や臨床の現場で使用されることにより、個々の助産師の助産実践における自律性を評価することができ助産実践能力向上への動機づけとなり、個々の助産師のキャリア形成に役立つことである。また、助産師の自律性を可視化することは助産師の質の維持や向上の指標として活用することができ、国民に対し助産師の質の保証をすることにつながるため重要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度は、助産師の専門職自律性尺度の開発に向けて、助産師の自律性の構成概念の明確化を目指し、国内外の文献検索および文献検討を行った。その後、引き続き文献検討した内容や助産師教育に携わっている有識者からの情報をを含め「助産師の専門職自律性尺度」を作成する予定である。しかし、現状としては病棟管理経験者や助産教育に携わるスーパーバイザーとのグループディスカッションをする時間の確保が困難な状況であり、参加協力を得る段階に至っていない。そのため、当初立案した研究実施計画の達成度が遅れている状況である。 また、計画書立案時には、調査施設にアドバンス助産師が在職する周産期母子医療センターでの調査協力を依頼する予定であったが、サンプル数の確保が難しいことや属性の偏りが懸念されることから、分娩を取扱っている産科のある一般病院や診療所での調査も視野に入れ、研究フィールドの確保に取り組んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度では、病棟管理経験者や助産教育に携わるスーパーバイザーとのグループディスカッションをすることが困難であるため、有識者個々の意見を反映し研究者と助産教育に携わるスーパーバイザーで「助産師の専門職自律性尺度」の作成にあたる。また、尺度作成後、迅速にパイロットスタディを実施し本調査に取り組む。なお、調査が計画どおり進まない場合、①調査のデータ取集方法や対象数を変更、②時期を遅らせて対応、③研究協力者を増やして対応する④データ入力を業者への依頼することも考慮する。 また、多くのサンプルの確保ならびに属性の偏りをなくすために研究フィールドを広げる必要が生じていることより、調査施設の選定をランダムサンプリングではなく、中部地区に限定し、その周産期母子医療センターならびに機縁法による一般病院や診療所への調査依頼も考慮していく。
|
Causes of Carryover |
平成28年度では、尺度を作成する際のスーパーバイザーへの謝金を予算に計上していたが、グループディスカッションをする時間の確保が困難であり実施できなかったため、次年度使用額が生じた。また、文献検索の際、多くの論文がアクセスフリーであり論文の取り寄せ費用が不要となったためと考えられる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、引き続き尺度作成後、パイロットスタディを実施し本調査を実施するため、調査協力依頼旅費、調査協力者への謝品、調査票印刷・運搬費が必要である。また、調査結果のまとめ及び学会参加のために、ソフト購入費、データ入力等の人件費、学会参加費および旅費が必要となる。
|