2016 Fiscal Year Research-status Report
生活障害のケアの体系化と認知症高齢者の病みの軌跡の解明
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16K15953
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
諏訪 さゆり 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (30262182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 真由子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (30514252)
池崎 澄江 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (60445202)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症 / 生活障害 / ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
デイサービス・グループホーム計6施設を利用する、生活障害を有する認知症高齢者17名をケアしている看護・介護職20名のケア場面を3~6ヶ月間参加観察し、また、各々の認知症高齢者の生活障害とケアについてグループインタビューを行った。その後、FASTの重症度ごとに、認知症高齢者の生活障害とそのケアを質的記述的に分析した。 入浴における【生活障害】とその『ケア』の一部を示す。FAST4では【浴室から出て、身体を拭くことがわからず、拭くことができない】という生活障害に対し『認知症の人が身体が濡れたまま、服を着そうになったときに、タオルで拭くことを言葉で伝える』というケアが行われ、FAST5・6でも同様の生活障害とケアが見られた。FAST5では【シャンプーとボディソープのボトルの区別がつかず、選べない】ため、『使うべきボトルを手前に出して置き、認知症の人が選んだ後に、確認を求められたらうなずく』ようにしており、FAST6でも共通していた。FAST6では【衣服の着方がわからず、上着に足を通し、ズボンを頭から被る】ため、『頭に上着を被るまでを手伝い、自分で袖に腕を通せるようにしたり、ジェスチャーで示す』というケアが行われていた。FAST7では【自分で身体を動かして、動作を行い、入浴することは困難である】という生活障害のため、『リフト浴で入浴する』というケアがなされていた。同様に、食事や排泄についても認知症高齢者の生活障害とそのケアについて分析し、特徴を明らかにした。 これらのケアを受けた認知症高齢者について、改訂版長谷川式認知症スケール、NPI、認知症高齢者の日常生活自立度、障害高齢者の日常生活自立度を用いて3~6ヶ月間評価したが、特徴的な変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、50名の認知症高齢者のデータ収集を目指していたが、生活障害の丁寧な観察内容とケアについての詳細なインタビューをグループホームやデイサービスの看護・介護職員に対して行うためには、対象となる認知症高齢者の人数を制限する必要性が生じたため、研究協力施設を増やして実施した。それによって認知症高齢者の生活障害とケアやNPIに関する詳細なデータが収集できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度についても平成28年度と同様に、認知症高齢者について、以下のデータを収集・分析し、生活障害のケアの体系化と認知症高齢者の病みの軌跡の解明を目指す。 a.認知症高齢者の基本データ:年齢、性別、認知症の原因疾患、既往歴、現病歴、薬物療法、医療処置 b. 生活障害とケアに関するデータ:看護・介護記録等に記載されている生活障害の具体像、個別ケアプランに記載されているプラン、日常生活行為の遂行状況、意思の言語的表出のありよう、生活リズム c. スケールを用いた認知症高齢者の状態像に関するデータ:使用するスケール:改訂版長谷川式認知症スケール、認知症高齢者の日常生活自立度、障害高齢者の日常生活自立度、NPI(Neuropsychiatric Inventory:介護者による精神症状を評価するための方法。妄想、幻覚、興奮、うつ、不安、多幸、無感情、脱抑制、易刺激性、異常行動の10項目につき、それぞれの頻度を1~4の4段階で、重症度を1~3の3段階で評価する。NPIは介護老人保健施設を中心に認知症高齢者に用いるスケールとして広く活用されている。)d.有害事象、合併症等の発症に関するデータ:転倒、転落、誤嚥などの有害事象、大腿骨頸部骨折、誤嚥性肺炎、高血圧、糖尿病などの合併症
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Causes of Carryover |
対象者数が、当初計画していた認知症高齢者数より少なくなったため、NPIの購入費用が減額となったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力施設への旅費やNPI購入費用、データ入力等の謝金に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)