2017 Fiscal Year Research-status Report
福島原発事故によって長期化した避難生活が住民の”生きる力”に及ぼす影響
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16K15964
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
中山 洋子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (60180444)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原発事故 / 東日本大震災 / 避難生活 / 災害看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災においては、福島第1原発事故によって放射線に汚染された地区の住民は、7年に及ぶ避難生活を余儀なくされている。土とともに生きてきた住民の生活スタイルは一変し、”生きる力”、すなわち、生命・生活・人生に大きな影響を及ぼした。本研究では、原発事故のために、今なお、避難生活を送っている住民の生活実態を把握するとともに、2011年3月11日の震災から現在に至るまでの生活の変化、これまでに経験した葛藤やジレンマ、住み慣れた土地へ気持ち、今後の見通し等を語ってもらい、その語られた内容を時間軸に添って整理し、震災の記録を生活史として作成する。それを基に、放射線災害が住民の”生きる力”に及ぼす影響を明らかにし、長期的な支援のあり方を検討していくことを目的としている。 本年度は、対象地域の役場(行政)が調査し、公表している統計的資料等から、住民の生活や健康状態の変化、避難解除になった地域に戻った住民の数やその後の生活状況等について把握するとともに、これまでの調査で明らかになっている避難住民の直面した困難さや苦悩について分析した。そのうえで、今なお、仮設住宅で暮らしている住民、特に高齢者世帯の生活実態について、仮設住宅の世話人に状況を聞き取り、今後の調査の内容や見通し、必要となる援助について検討した。また、原発事故によって避難を余儀なくされ、元の生活の場(自宅)に戻ることなく亡くなった高齢者の日記等の生活記録や資料の整理を行い、その生活史を事例としてまとめる作業に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
被災地の状況が予想以上に変わってしまい、協力をお願いする予定であった仮設住宅の住民が引っ越してしまったことや、被災地との関係が確立し、対象者へのインタビュー等を担うことになっていた研究協力者が、出産・育児のために役割を担えなくなったことにより、調査に遅れが生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力をお願いしている仮設住宅は、平成30年度に閉じることが計画されているので、仮設住宅に留まっている住民の生活実態を把握するための調査を早急に実施する。また、被災地住民の長期に及ぶ避難生活の語りについては、対象者を広げ、避難解除になった地域に戻った住民の中で、5年に及ぶ避難生活を経験した事例についても研究協力をお願いする。
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Causes of Carryover |
(理由)調査が遅れたために、聞き取り調査やインタビュー調査を行う旅費、データ整理のアルバイト、テープ起こしの費用、会議費支出が予定より少なかった。 (使用計画)物品費(図書, USBメモり, 文具等)182,749円、旅費(国内・国外)900,000円、人件費・謝金(データ整理のアルバイト, 研究協力者への謝金)250,000円、その他(テープ起こし, 会議費, 翻訳料等)400,000円
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