2017 Fiscal Year Research-status Report
地域における継続医療を軸とした高齢患者のACP実践モデルの開発
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16K15972
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
谷本 真理子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (70279834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 満則 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, その他 (70557214)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アドバンスケアプランニング゛ / 継続医療 / 高齢患者 / 実践モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
アドバンスケアプランニング(以下、ACP)に関する国際学会参加時のディスカッションや研究会議において、日本においてACPの認知度は高まってきているものの、ACPとは何であるかに混乱がみられる現状があり、社会的コンセンサスを得ていくことの必要性が高いことを討議した。本研究のデータ収集に先立ち、日本におけるACP研究の現状と課題を踏まえることの必要性と優先性が高いと考えた。そこで、日本のACP研究の現状と課題を明らかにすることを目的として、統合的文献レビュー(Integrative Review)を行った。医学中央雑誌、MEDLINE、CINAHLを検索し、日本の研究データを扱っている2011年から2017年までの原著論文39件を選定して分析をした。その結果、この期間における研究は、調査研究が多くを占め、人々の終末期ケアや事前指示書についての知識や関心について調査したものが多かった。近年ではより具体的なACPの実施方法に関する研究もみられるようになってきているが、本人の価値と研究データとの関連が不明確である研究がみられ、散見される介入方法においては介入方法の記述が十分でなく再検証が難しいことなどが明らかとなった。また、高齢者の場合は、本人の意思を確認することなく家族を高齢者の代弁者や代理意思決定者として見做す現状があるが、年齢が高くなるほど医療行為の決定を他者にゆだねる傾向もあった。個人の自己決定権を重視する欧米諸国とは異なり、日本における“本人の望む終末期ケアの提供を可能とするために何が必要であるか”を明らかにすることが課題であると考えられた。また、日本におけるACP研究は端緒にあり、日本の文化、社会、医療事情に適したACP開発に向けたエビデンスの蓄積が必要であることが明示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
超高齢化がすすみ、一般市民の終末期への関心も広がりを見せ、厚生労働省による人生の最終段階における医療やケアに関する検討も継続される中、アドバンスケアプランニングに対する医療者の認知度は高まっている。一方で、アドバンスケアプランニングとインフォームドコンセントとの区別が曖昧であったり、事前指示書を記載することに焦点があたる現状もある。アドバンスケアプランニングの考え方は、欧米諸国から先行しているために、日本において社会的コンセンサスの形成が不十分であると考えられた。そのため、日本に適したACP開発に向けては、日本における先行研究を分析して現状と今後の課題を検討することが必要であると考え、統合的文献レビュー(Integrative Review)に着手した。キーワードをアドバンスケアプランニングで論文検索をしたところ、研究内容が多様であり、アドバンスケアプランニングの分析対象論文とする論文選定に難渋した。アドバンスケアプランニングについての海外の研究動向ならびに定義の再確認、研究メンバーでの討議を行い、レビューの焦点化、分析対象論文の選定基準の設定に至ったが、その過程に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
・研究計画修正後に研究代表者の所属施設の倫理審査を受審する。その後、地域におけるACP実践を推進している研究施設の研究倫理審査を受ける。その後、データ収集と分析を行い、実践モデル案を作成する。ACP研究者およびACP実践者で構成する専門家会議を経て、研究成果を導く。倫理審査の承認に時間がかかる場合、研究期間の延長も検討する。 ・研究協力者を追加し、データ収集と分析を推進する。データ収集と分析に関連して発生する事務作業については業者委託を行う。
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Causes of Carryover |
【次年度使用が生じた理由】平成29年度は、アドバンスケアプランニングの日本における研究の現状を把握し、研究課題ならびにデータ収集内容の明確化を図るための統合的文献レビュー(Integrative Review)を実施した。文献収集を中心としたため、研究費使用額が少なくなった。 当該研究補助者が別雇用となったため、人件費の支出が抑えられた。 【使用計画】平成30年度は、データ収集と分析、成果発表を行う。データ収集にかかる費用(80万円);研究補助者への謝金、データ収集対象者への謝礼、交通費、消耗品。分析にかかる費用(90万円);研究補助者の雇用、事務的作業に関する業者委託費。成果発表にかかる費用(50万円);学会発表旅費、論文投稿における英文校正、HP更新費用、等。
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