2018 Fiscal Year Research-status Report
精神障がい者が当事者の視点から研究支援することのエンパワメントへの影響
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16K15977
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Research Institution | Sonoda Women's University |
Principal Investigator |
桂川 純子 園田学園女子大学, 人間健康学部, 准教授 (40369608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 香代子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (00344599)
北岡 和代 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (60326080)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 精神障害 / 当事者 / エンパワメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,精神障がい者(以下「当事者」とする)が精神保健福祉研究に参加するプログラムを試行し、エンパワメントの視点から評価することを目的としている。今年度は、プログラム作成の過程でわが国おける当事者のボランティア活動参加に関する調査が必要であることが明らかとなったため、行った。 研究倫理審査(園田学園女子大学第18-08-02号)を経た後、発症後の活動について語れる地域で生活する当事者に対して、半構成的面接法でインタビューし、複数の研究者で意味のまとまりに応じて帰納的に分析した。研究協力者は12人であった。参加を見送ったり同意を取消したりした者を除き10名のインタビューデータを分析した。インタビュー時間は合計186分であった。30~50歳代の男女で,ボランティア活動を行う前は,近所の人からの頼まれごとをしたり,デイケア,事業所へ通所したり,自宅に引きこもっていた。服薬を継続しながら一般就労している者もいた。分析結果から、ボランティア活動への参加は、セルフスティグマを乗り越えることにもつながる≪ネガティブな考えからの解放≫や,リカバリーの過程で重要な≪少し先の将来への希望≫などを得られることが明らかとなった。また,コーディネータに支えられている部分もあるが,自分たちが≪効果的なピアサポートの実践場≫として場を有効活用し,≪ボランティア活動と体調不良≫,≪生活におけるボランティア活動の位置づけと両立≫などの困難を乗り越える体験をすることにより自尊心や自己効力感につながると考えられた。そして,≪社会とのつながりにより自ら編み出すセーフティーネット≫の構築により,単に当事者のみならず,人々のつながりのきっかけとして既存の制度の隙間を埋める活動となる可能性が示唆された。 加えて、今後の計画に必要な精神障がい当事者を対象としたエンパワメントに関する尺度の使用について許諾を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年度に生じた不測の事態により全体の計画が遅れたが、今年度はそれを回収し、当初の目標を達成するために1年の期間延長を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
応募段階で計画していたSUGAR(Service User and Carer Group Advising on Research)を参考にしたプログラムを完成させ、当事者の方と実施し評価する計画である。この中で、当事者が新規プログラムに参加することになるため、研究実施上の十分な倫理的配慮を行う。
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Causes of Carryover |
一昨年度に生じた不測の事態により全体の計画が遅れ、当初の目標を達成するために1年の期間延長を行ったため次年度使用額が生じた。 今年度は、応募段階で計画していたSUGAR(Service User and Carer Group Advising on Research)を参考にしたプログラムを完成させ、当事者の方と実施し評価する計画である。このため、実施計画を策定するための研究打ち合わせ旅費、研究実施のための、参加当事者への謝金、資料作成のための物品費、実施支援者の人件費、会場使用料、研究者の旅費などに使用する計画である。
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Research Products
(1 results)