2017 Fiscal Year Research-status Report
成人双生児を用いた骨粗鬆症に関する遺伝要因と環境要因の国際比較研究
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16K15989
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本多 智佳 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (40625498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨澤 理恵 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (20584551)
乾 富士男 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (80469551)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 双生児研究 / 公衆衛生学 / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会である日本は近年の平均寿命が延び、さらなる長寿化をたどる一方で、厚生労働省によると健康寿命と平均寿命との差は男性で約9年、女性では実に約12年(平成25年)と大きく開いている。このことは医療費や介護給付費など社会保障費用にも影響する。要介護状態になる原因として最も多いものは脳血管疾患や認知症だが、要支援者に限定してみると関節疾患や骨折・転倒が原因に占める割合が高くなる。高齢者の骨折の多くは骨強度の低下による脆弱性骨折であるが、推計1300万人とされる骨粗鬆症患者への対策ならびに予防は遅れていると言わざるを得ず、診断・治療に先立って骨折が発生している現状がある。骨折の危険因子として、低下した骨密度と生活習慣や様々な生活習慣病があるとされている一方で、遺伝要因の影響も指摘されている。 本研究では一卵性、二卵性双生児を対象として、骨粗鬆症に関連した調査をおこなっているが、双生児研究法を用いることにより、これまでの一般人(双生児でない)を対象とした研究では不可能である遺伝と環境の影響をより詳細に検討することが可能である。対象者は大阪大学ツインレジストリに登録されている方を対象とし、大阪大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施している。超音波による骨密度の測定を行っていることに加えて、質問紙を用いた健康習慣と食習慣についても調査をおこなっている。 これまでに研究参加を得た成人双生児データをもとに遺伝寄与率解析をおこなったところ、遺伝要因が集団における骨密度の分散を説明しており、 骨密度は遺伝の影響を受けている可能性が本研究においても示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査によるデータ収集も概ね予定通りに進捗している。まだ十分な数ではないが、これまでに収集したデータを解析したものを日本双生児研究学会でも発表するなど、解析も進めている。 今後、データ収集を重ね、さらなる解析を進めていく予定である。特に、日本国内における双生児コミュニティや海外在住日本人などのコミュニティとの連携をさらに進めることで、計画に沿って研究を進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は成人双生児を対象としており、継続して骨粗鬆症に関する調査データ収集および解析を進めていく予定である。双生児を対象とした研究はまだ日本ではあまり認知されておらず、実施には大きな困難を伴う。 双生児を対象とした研究は他の対象者では不可能な、遺伝背景を制御して環境因子の影響を検討できるという大きな優位点がある一方で、対象者の確保が非常に困難である側面を有する。対象者の確保は研究者側の一存では進めることが難しく、双生児コミュニティとの関係性を構築・維持することが不可欠である。 今後は、さらなる調査研究および解析を進めるとともに、双生児コミュニティとの連携を進めながら、対象者確保につながるような方策を講じることで研究の発展を目指したいと考えている。
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Causes of Carryover |
予定していたデータ収集の一部を翌年度実施に変更したため。 今後、データ収集を重ね、さらなる解析を進めていく予定である。特に、翌年度実施分では日本国内における双生児コミュニティや海外在住日本人などのコミュニティとの連携を積極的に進めることで、双生児研究参加者をできる限り確保していく計画で研究を進めていきたいと考えている。
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