2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15991
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
井手 知恵子 大分大学, 医学部, 教授 (00232421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 奈穂 大分大学, 医学部, 助教 (30582811)
志賀 たずよ 大分大学, 医学部, 准教授 (90305847)
椛島 千穂 大分大学, 医学部, 助手 (90760257)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 行政保健師 / 業務の引継ぎ / 現任教育 / OJT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、行政組織における保健師業務の引継ぎについて、その実態を類型化し効率的・効果的な引継ぎの要件を明らかにし、保健師活動の可視化と人材育成の取組としての可能性を検討することを目的としている。 担当する地区や業務の交代に際して保健師は何を引き継ぐのか、その内容を把握・分析し洗練することで、公衆衛生看護活動の必要最小限の情報を吟味できると考えている。また、引継ぎの技法による現任教育方法の開発へ発展を期待している。 研究計画としては、保健師業務の引継ぎについてタイプの異なるフィールドにおいて、保健師に対する面接・質問紙調査を実施し、その実態から類型化を試み、それぞれの類型ごとに効果的効率的な要件を分析し、他の職業分野の引継ぎについての比較検討とあわせて、保健師活動の可視化と人材育成の取組としての可能性を検討することとしている。具体的には、これまでの研究者らの実務や教育・研究活動を通して知りえたタイプの異なる都道府県および市町村をフィールドとして選定し、はじめに、フィールドにおける統括的立場の保健師への調査(以下、統括保健師調査)と、その後の、すべての保健師に対する質問紙調査(以下、全保健師調査)を予定している。 研究2年目である29年度は、前年度に実施した3つのフィールドにおける、統括保健師調査を分析し、組織全体としての引継ぎにかかる実態と課題についての検討、および全保健師を対象とした調査の協力依頼と調査方法・内容の検討、当該フィールドにおける引継ぎの特徴の整理と保健師の配置・キャリア構成、部門・課を越えた異動の実態などの整理を継続した。また、他分野の「引継ぎ」についての情報収集・分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全保健師調査の実施にむけて、3フィールドの統括的立場の保健師に対する調査から、保健師業務の経験、とくに部門・課を越えた異動の実態や担当する地区や業務の交代の状況と、これまで経験した引継ぎの方法・内容、効果的・効率的な引継ぎに関する意見などを把握し、引継ぎの実態を捉える枠組みを検討した。 また、これまでの研究者自身の実務や教育・研究活動を通して知りえた都道府県・市町村の状況を加味し、調査内容の精選を調査体制の調整を行うことができており、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究過程において、保健師業務の引き継ぎは、他の行政職と同様の引継ぎ書が用いられる一方で、保健師の係(チーム)内で異動しない他保健師を介して業務内容が伝承されていたり、「手引き」「実施要領」などのマニュアルや「保健師業務評価・計画」がそれに代わる役割を果たしていたり、さまざまな状況が明らかになった。 今後は、統括保健師への調査を行ったフィールドを中心に、様々な経験をもつ保健師を対象として行政組織における保健師業務の引継ぎの全体像を把握する調査を実施し、現任教育としての引継ぎの意義について検討したいと考えている。
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