2016 Fiscal Year Research-status Report
公衆衛生のリーダー養成に資する修士課程保健師教育の強化:公衆衛生学との連携可能性
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16K15998
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
村嶋 幸代 大分県立看護科学大学, 看護学部, 学長 (60123204)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 修士課程保健師教育 / 公衆衛生大学院 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、共同研究者と研究組織を構築するとともに、平成27年度までに開校した修士課程保健師教育を行っている大学院と公衆衛生大学院(公衆衛生専門職大学院と公衆衛生系の医科学修士課程)に関するカリキュラムを収集した。 1.修士課程保健師教育に関するカリキュラムの整理:修士課程において保健師教育を行っている大学は10校であった。開設している大学のカリキュラムを入手し検討を行った。すべての大学院で、「指定規則28単位」+「大学院教育内容」でカリキュラムを構成していた。修士課程で育成したい保健師像があり、「指定規則28単位」の実践力の育成は、地域、産業、健康危機管理、NP等があった。 2.公衆衛生大学院(公衆衛生専門職大学院と公衆衛生系の医科学修士課程)に関するカリキュラムの整理および認証評価基準の読み合わせ:平成28年現在の公衆衛生大学院を開設している大学の情報を整理した。さらに、公衆衛生系専門職大学院認証評価の目的が公衆衛生系専門職大学院の自己点検・評価報告書を分析し、実地調査の結果に基づき評価を行い、公衆衛生系大学院の水準の向上を図っていることを確認した。 3.修士課程保健師教育および公衆衛生大学院に関する最新の動向:公衆衛生に関する課題が変化している現在、国内外で保健医療専門職養成に求められる教育の再検討が行われており、国内外の文献は現在収集している。今後文献レビューに本格的に入っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.修士課程保健師教育に関するカリキュラムの整理:修士課程において保健師教育内容と保健師指定規則等の検討を行った結果、すべての大学院で、「指定規則28単位」+「大学院教育内容」でカリキュラムを構成していた。修士課程で教育する保健師像の共通要素は、①研究的素養、②国際的視野、③将来リーダーとなり得る人材であることであった。また、実践能力としては、①社会情勢と地域の健康に応じた公衆衛生看護の研究遂行能力、②地域の人々の基本的人権である健康と生活を護る公衆衛生看護専門職としての責務を遂行する能力、③個人・家族レベルの健康問題を解決する能力、④地域特性に基づき、集団・地域を対象としたアセスメント・介入・評価を行う能力、⑤地域の健康水準を高めるために地域特性に応じて事業化・施策化・政策化をする能力、⑥健康危機管理能力、⑦「個人・家族」「地域」「システム」をつなぐ能力の7つの能力にまとめることが出来た。 2.公衆衛生大学院(公衆衛生専門職大学院と公衆衛生系の医科学修士課程)に関するカリキュラムの整理:平成28年現在の公衆衛生大学院を開設している大学の情報を整理した。平成23年に日本学術会議基礎医学委員会・健康・生活科学委員会合同パブリックヘルス科学分科会において公衆衛生の大学院教育の世界基準に則り、生物統計学、疫学、環境保健学、社会科学、行動科学的方法論、医療管理学の5領域を体系的に学ぶ重要性を提唱していることを踏まえて教育体系を作成していこうとしていることが分かった。 3.修士課程保健師教育および公衆衛生大学院に関する最新の動向:公衆衛生に関する課題が変化している現在、国内外で保健医療専門職養成に求められる教育の再検討が行われており、国内外の文献は現在収集している。今後文献レビューに本格的に入っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.修士課程保健師教育と公衆衛生大学院のカリキュラムを比較:修士課程保健師教育と公衆衛生大学院のカリキュラムを比較し、共通性と各特長・提供可能な教育内容を把握し、公衆衛生分野の高度実践者養成を体系化する。 2.公衆衛生看護学が提供できる教育内容の明確化: 合同臨地実習等を計画するために、題材・地域・実施方法等について検討、試行できるように準備し、将来の協働に向けて可能性を探る(Giveの部分)。一連の過程を通し、公衆衛生看護学の特長や保健師教育が持つ利点等を明確にする。また、公衆衛生大学院も多様であることから、認証評価基準と共に、単位互換や共有化を検討する。これに、修士課程の保健師教育が活用することを検討する(Takeの部分)。 3.相互交流を通したGive & Takeの推進:単位互換等を考慮して作成した新カリキュラムを作成し、新カリキュラムの実施および合同臨地実習を実施し、新カリキュラムを受講する学生を対象に、縦断的調査を行う。また、新カリキュラムの評価と公衆衛生大学院と修士課程保健師教育が連携することによる強化策、および、認証評価基準の実施可能性について、院生の学習状況を比較することにより評価を行う。
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Causes of Carryover |
海外での学会発表の旅費を予算に組み込んでいたが、平成28年度の発表は行わなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は学会発表用の旅費を予算に組み込んでいなかったが、平成28年度の成果を学会にて発表する予定の旅費とする。
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