2017 Fiscal Year Research-status Report
レアイベントデータに対する統計的推測と臨床研究への応用
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16K16014
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
長島 健悟 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (20510712)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生存時間解析 / 情報量基準 / サンプルサイズ設計 / モデル選択基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、レアイベントデータにおけるCox回帰モデルのモデル選択基準の開発としてAkaike Information Criterion(AIC)およびBayesian Information Criterion(BIC)に関する研究を実施した。本研究の成果については、学術論文誌へ採択され(Nagashima & Sato Y. Statistics in Medicine 2017)、研究発表を行い、研究概要を解説したウェブページを公開した(http://nshi.jp/contents/stat/firthic/)。本研究では、単調尤度の状況下でCox回帰モデルを適用した際に起こる問題の対処方法の一つであるFirthのバイアス補正法を用いた場合のモデル選択の問題を検討した。既存の方法は、Firthのバイアス補正法で用いられる罰則付き最大対数部分尤度関数を用いたAICおよびBICであったが、これらの方法は理論的な問題があることを示した。また、この状況下での妥当なAIC型およびBIC型のモデル選択基準を構成し(罰則付きの推定をしていても、モデル選択規準には罰則項を含めてはならない)、シミュレーションで経験的な性能を検討した。提案したAIC型のモデル選択基準は将来得られるデータのデビアンス(-2倍の対数部分尤度関数)が小さくなるモデルを選択すること示し、提案したBIC型のモデル選択基準はデータ数(イベント数)が増えるほど真のモデルの選択確率が高くなってゆくことを示した。また、提案したAIC型のモデル選択基準を実際の臨床研究データに適用した結果、既存のモデル選択基準よりも合理的なモデルを選択することを示した。 また、生存時間をエンドポイントとしたシングルアームデザインのサンプルサイズ設計について検討を進めた。当該年度に投稿する予定であったが、詳細な検討を優先して研究を継続した。サンプルサイズ設計の方法の統一的な表現を導出し、シミュレーションにより経験的な性能を検討した。こちらは現在学術論文として投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、モデル選択基準の研究成果は学術論文誌へ採択され、アウトリーチ活動の一環として研究発表および研究概要を解説したウェブページも公開することができた。サンプルサイズ設計の検討では新たな知見も得られ、学術論文として投稿準備中の段階まで進捗している。 現状では、サンプルサイズ設計の論文投稿を進める予定であり、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はサンプルサイズ設計に関する論文投稿を実施する。また、可能な限り仮説検定と信頼区間、さらなる他の情報量基準への拡張、層別Cox回帰モデルの場合への拡張等について研究を進めてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に採択された論文のオープンアクセス費用を計上したところ、想定よりも高額であったため国際学会発表の費用を確保できなかったため、次年度に繰り越すこととなった。 次年度には、英文校正費用および国際学会発表費用として使用する計画である。
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