2019 Fiscal Year Annual Research Report
Stability analysis of foreign exchange markets based on agent-based models
Project/Area Number |
16K16016
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金澤 輝代士 筑波大学, システム情報系, 助教 (50759256)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経済物理学 / 統計物理学 / 分子運動論 / レヴィ・フライト / Hawkes過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は3つの研究を行った。1つ目は金融市場のボルツマン方程式の直接数値計算法の発展である。2018年に出版された論文(K. Kanazawa et al., Physical Review Letters 2018, Physical Review E 2018)において、分子運動論の数理を用いて金融市場のボルツマン方程式を導出した。このボルツマン方程式を数値的に直接解く手法を、反復モンテカルロ法によって構成した。結果、理論的に導出された解と整合する結果が得られた。本結果をまとめた論文を執筆中であり、近々投稿予定である。 2つ目に分子運動論の数理の拡張を通じたレヴィ・フライトの導出を行った。レヴィ・フライトとはまれに大きな変動が発生する特異的な拡散現象である。金融市場ではレヴィ・フライトに非常に近い価格時系列が発生することが知られている。そこで、分子運動論の数理を応用することで、レヴィ・フライトが現れることを証明可能な例をアクティブマター系を通じて構成した。本結果はNature誌から出版された。 3つ目にHawkes過程の解法の研究を行った。Hawkes過程とは、過去にショックが発生すると将来的によりショックが発生しやすくなり、臨界現象に至る確率モデルである。Hawkes過程は金融市場のモデリングとしてよく使われているが、非マルコフ性が強いため解析的な手法が殆どなかった。そこで、Hawkes過程を解くことが出来る数学的な変換方法を導入し、臨界点近傍の解析解を導出した。結果、強度(単位時間当たりのイベント発生確率)が中間的なベキ的漸近挙動を表すことを示した。以上の内容は、2本の論文(ショートレターとフルペーパー)にまとめ、arXivにアップロードした。また、現在論文誌に投稿中である。
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Remarks |
筑波大学からプレスリリースを行った。
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Research Products
(9 results)