2017 Fiscal Year Research-status Report
大規模時空間データのホットスポット検出に関する研究
Project/Area Number |
16K16019
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石岡 文生 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20510770)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スキャン統計量 / エシェロン解析 / 空間集積性 / ホットスポット / shinyアプリ / ZDD |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、研究計画の「エシェロンスキャン法による空間データのホットスポット検出法の発展」について、1. 大規模空間データの階層構造の単純化、2.ZDD法に基づくホットスポット検出、3.shinyによるアプリケーション化の実現、について重点的に研究を行った。 1.大規模空間データの階層構造の単純化:大規模データに対するエシェロンデンドログラムは極めて複雑な構造となり、ホットスポット検出のためのスキャン行程において膨大な計算量を要する。その問題に対処するため、エシェロンデンドログラムの構造だけを簡便なグラフで表現した「エシェロン木」を提唱し、その実用化に向けて研究を進めた。その成果を国際学会IFCS2017で発表した。 2.ZDD法に基づくホットスポット検出:組み合わせ集合を高速に数え上げ列挙するZDD(Zero-suppressed Binary Decision Diagram)と呼ばれるアルゴリズムを空間データに適用する際に、従来の地理的な隣接情報では無く、エシェロンデンドログラム上で与えられる領域同士の隣接情報を利用することにより、「エシェロン法による計算コストの軽減化」と「ZDDによる総当たりスキャン」を組み合わせた新たなホットスポット検出法を提唱した。これら研究成果をIFCS2017やIASC-ARS2017などの国際学会、および国内の研究集会で発表した。 3.shinyによるアプリケーション化の実現:Rのshinyパッケージを利用してアプリケーション化を行うことで、データの読み込んで地図上にホットスポットを描画するまでの一連の解析をインタラクティブに行うことを可能にした。特に、地図への描画についてはweb地図作成用のパッケージleafletを利用することで、様々な地理情報が付随されるよう工夫している。これら研究成果を国内の研究集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事業計画の「大規模空間データの階層構造の単純化」に関しては、その方法の一つであるエシェロン木について研究を進めた。このエシェロン木をホットスポット検出とどのように結びつけるかが今後の検討課題である。また、ホットスポット検出手法の発展的展開として、ZDDに基づくスキャン法により必ず尤度が最大となるホットスポットを検出出来ることを示せたが、計算コストの問題から小規模データへの適用に限られる。そこで、空間データに直接ZDDを適用するのではなく、エシェロンデンドログラムにZDDを適用するという着想にいたった。エシェロンスキャン法のアプリケーション化について、当初の予定していた機能はほぼ実装できている。特に、解析結果の視覚的な表現については、当初の計画を上回る内容のものになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、ホットスポット検出に関する各種の提案手法について、シミュレーション実験等を通じてその有効性について検証、および実データへ適用を行い、それら研究成果を引き続き国内外の学会で報告する。また、扱う対象のデータを時空間データ、多次元空間データへ拡張することも視野に入れる。加えて、開発中のアプリケーションを完成させ、その公開を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)予定していた研究図書の購入が遅れたため、翌年度への繰越金が生じた。だが概ね当初の計画通り施行できており、研究計画に変更の必要は無いと考える。
(使用計画)情報収集ならびに成果報告のため、主に出張旅費として使用予定である。
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Research Products
(7 results)