2016 Fiscal Year Research-status Report
超伝導ディジタル回路デバイスのための配線遅延を考慮した自動配置配線手法の確立
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16K16029
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
鬼頭 信貴 中京大学, 工学部, 講師 (90630997)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 単一磁束量子回路 / 自動配線 / 自動配置 / 配線長 / レイアウト設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は超高速かつ省エネルギな超伝導単一磁束量子(SFQ)回路を用いた論理回路のレイアウト設計のための自動配置配線アルゴリズム開発を目的とする。本年度は、以下の点を実施した。 1. 大規模SFQディジタル回路の設計のための配線長を考慮したコンパクトな配線を生成する高速配線アルゴリズムを開発した。大規模SFQ回路では高速な信号伝達が可能な受動線路が配線に用いられる。設計したレイアウトの動作の安定化のために回路内の各ゲートついて、ゲートに至る配線の配線長を合わせこむことが重要である。我々が考案した従来配線法では整数計画問題として定式化し、それを解くことにより配線を求めたが、配線を記号列で表す表現法を開発し、焼きなまし法を用いてコンパクトとなる配線の探索を行うことで高速化を行った。 2. SFQディジタル回路の論理検証のための論理シミュレーションツールの拡張を行った。研究代表者らは、SFQディジタル回路に適したゲートレベルの回路記述法を以前に提案し、この記述法に基づく論理シミュレーションツールを設計した。しかし、回路の設計検証を行うための機能が十分とは言えなかった。SFQ回路ではゲートレベルのパイプライン動作が可能で、各信号の時刻を意識することが重要であり、設計ミスが生じやすい。そこで、時刻を記述可能な信号表現法を導入し、さらに、設計検証用の構文をツールに導入した。 3. 大規模SFQディジタル回路の設計のためのゲートの自動配置アルゴリズムの初期的な検討を行った。1.に示した自動配線アルゴリズムと組み合わせることでレイアウトを設計できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標であった、高速配線アルゴリズムについて手法の開発と国際会議での発表ができたため。また、2017年度に取り組む予定となっていた自動配置アルゴリズムの初期的な検討に進むことができた。その結果、本年度提案の高速配線アルゴリズムと組み合わせ、SFQ回路の自動レイアウトの初期的な結果が得られることが確認できている。このことから、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度初期的な検討を行ったSFQ回路のための自動配置アルゴリズムの洗練と、アルゴリズムを実装した設計ツールの完成度を高める。 特に、各ゲートにクロック配線が必要であるSFQ回路ではクロック信号の分配が回路の性能や動作の安定性に影響を及ぼす。クロック分配におけるスキューや回路の動作安定性に影響するジッタの蓄積など考慮し、性能が高く・面積が小さく・安定度した動作が期待できるクロック分配とその配置法に注目して研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究計画策定時点では今年度参加の予定であった国際会議Applied Superconductivity Conference(ASC2016)への投稿と参加を見送り、研究を洗練する方針を取ったため、そのための旅費が未使用となった。また、このほかにも参加を予定していた国内学会が、近隣で開催されたため予定していた旅費が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の国際会議発表などの旅費に充てる。また、今年度はアルゴリズム評価用の計算サーバを導入する予定であるが、研究計画策定時点よりもメモリ等のパーツ価格が上昇しておりその上昇分に充てる。
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