2017 Fiscal Year Research-status Report
髙い柔軟性を有したクラウドBFTレプリケーションシステムの実現
Project/Area Number |
16K16035
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中村 純哉 豊橋技術科学大学, 情報メディア基盤センター, 助教 (60739746)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | BFTレプリケーション / パブリッククラウド / ビザンチン合意 / 分散システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近年になって新しく出現したコンピューティング環境であるクラウドインフラストラクチャに適したBFTレプリケーションを実現するために必要となる、新しいBFTアルゴリズムの開発を目的とする。具体的には、従来のBFTレプリケーションアルゴリズムでは達成できなかった、レプリケーションを構成するノード数や配置を動的に変更できる機能の実現を目指す。これにより攻撃の脅威度に応じた故障耐性の変更が可能になり計算リソースや電力の有効利用が可能になる。
平成29年度は、1. BFT-SMaRtに対する機能追加、2. Docker Machineの機能検証、3. プロトタイプ作成による動作検証の3点を進めた。以下にそれぞれの概要を述べる。
まず、既存のBFTレプリケーションライブラリBFT-SMaRtに対して、1. 設定ファイルの自動生成機能、2. レプリケーションから動的にレプリカを追加/削除する機能の追加実装を行った。これにより、本研究目的を達成する上で必要となる機能を全て実現することができた。次に、複数のクラウドインフラストラクチャを統一的なインターフェイスで操作・管理するための技術として、Docker Machineの動作検証を行った。これは、以前検討していたlibcloudではレプリケーションプログラムを実行するための環境の管理が別途必要になるため、全体の管理が煩雑になることに起因する。動作検証の結果、本研究で利用する上で十分な機能を備えていることがわかった。最後に、これまでの成果を用いて、パブリッククラウド上に実現したBFTレプリケーションに関する簡単な性能評価実験を実施した。実験から、このような形式のレプリケーションでは、レプリカを配置するリージョンの選択がレプリケーション性能に大きな影響を与えることがわかった。得られた成果は情報処理学会第80回全国大会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
想定した進捗よりも遅れている。これは、研究代表者が所属する部署の担当業務が想定よりも増えたため、予定していたエフォートを本研究課題に割くことができなかったことが原因である。また、本研究で利用するクラウド統合管理ライブラリとして、これまで想定していたlibcloudからDocker Machineに切り替えたために、作成中だったプログラムに一部修正が必要となったことも原因の一つとしてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の実施期間は平成28年度から平成29年度までの2年間の予定であったが、1年間延長し、平成30年度までとする。これにより研究計画の遅れを取り戻し、申請時に想定した研究目標の達成を目指す。
平成30年度は次のとおり研究を進める。まず、現在作成途中である、Docker Machineを利用した複数のクラウドインフラストラクチャに跨がったBFTレプリケーションを管理するプログラムを完成させる。その後、作成したプログラムを用いて、複数のクラウドインフラストラクチャ上に跨がるBFTレプリケーションを構築する。利用するクラウドインフラストラクチャとしては、主要なパブリッククラウドサービスであるAmazon EC2, Microsoft Azure, Google Cloud Platformを想定している。構築したBFTレプリケーション環境を用い、1. 各パブリッククラウドサービスの特性、2. レプリカを配置するリージョンの位置関係、3. レプリカ間の通信速度などの観点から評価実験を行い、提案手法の有効性について確認する。最後に評価実験の結果を論文としてまとめ、研究成果を対外発表する。
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Causes of Carryover |
【理由】 当初想定していた研究計画よりも進行が遅れたことから、予定通りに研究費を執行することができなかった。特に、大規模なBFTレプリケーションの評価実験を行うためにパブリッククラウドサービスの利用料として「その他」の費目で多くの支出を予定していたが、研究進捗の遅れにより平成29年度は十分な評価実験を行うことができず、当該費目の使用額が予定よりも減少した。 【使用計画】 H29年度に執行できなかった残額について、平成30年度に時期をずらして予定通り執行する。また、提案手法の評価実験を行うためのBFTレプリケーション環境を複数構築し、複数種類の評価実験を並行して進められるようにする。これにより評価実験にかかる時間を短縮し、予定した研究計画に従って本研究を完遂できるよう努力する。
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Research Products
(1 results)