2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16043
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 一樹 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (00434895)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フィールドモニタリング / 深度情報 / 植物骨格モデル / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,作物のリアルな状態に合わせた農園管理や意思決定といった次世代営農の確立を目指し,部位ごとの成長率や形態変化といった植物自体の環境応答を構造化して詳細に記録し,利活用を促進するベクタデータクラウドを構築することが目的である.平成28年度は,深度情報モニタリングデバイスの開発と植物骨格モデル構築に関する取り組みを実施した.従来は数値化や構造化が困難であった植物の形状とサイズとの対応がとれたデータを自動的にベクタデータとして抽出し,蓄積するシステムを開発するために,具体的には,深度情報付き画像に対してあらかじめ構築したスケーラブルな植物骨格モデルの当てはめを行い,植物の各部位における変化が把握できるように,構造と数値との対応がとれたデータを独自デバイスを通して蓄積する連続稼働システムを構築する.このシステムにとって重要な要素である深度情報モニタリングデバイスについて,レーザレンジファインダとサーボモータ,およびレールを組み合わせることで,植物形状を取得するためのベースシステムの試作を完了した.室内での動作実験を実施したところ,レーザレンジファインダーの距離分解能が低く,細かな形状が把握できない問題があるため,レーザレンジファインダをカメラに変えて多視点画像をモノレールで取得することで,画像処理による3次元構造の構築を検討している状況である.また,植物骨格モデルの構築に関しては,リンゴ果実の大きさを抽出するための機械学習を試み,植物骨格モデルを構築するために必要な機械学習手法とアーキテクチャの試作を開始した.現有モニタリングシステムで取得したリンゴ画像から,リンゴ部分のみを抽出した訓練画像セットの構築を完了しており,現在画像上の座標値とサイズを抽出するための機械学習に取り組んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,深度情報を取得するデバイスの開発と,その運用とを平成28年度内に完了する予定であった.採用したレーザレンジファインダでは,観測範囲が限定されており,それを補うために平行移動する機構を新たに追加した.その開発に着手したため,当初の予定よりもデバイスの完成が遅れ,運用が開始できない状況にある.また,植物骨格モデルの構築に関しては,機械学習の一手法であるディープラーニングを用いることで同様の結果が得られる見込みがあるため,優先的に進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
移動型深度情報取得デバイスの完成を優先的に実施する.また,それと同時にディープラーニングを用いた植物形状の数値化技術の開発も優先的に実施する. 当初の予定では,骨格モデル当てはめ技術の開発をする予定であったが,ディープラーニングを用いることで,この技術の開発自体が省略できる可能性がある.骨格モデルを深度情報が付与されたモニタリング画像に当てはめ,植物の部位ごとの変化を時系列で追跡できるようにすることが,モデル当てはめ技術の目的であるが,この計算手法の確立には相応の労力と時間が必要であり,ディープラーニングによって解決できれば,研究を大きく進捗させることが可能となる.
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Causes of Carryover |
現有モニタリングシステムが予想よりも低い故障率で稼働しており,メンテナンスに必要な経費が削減できた.また,当初深度情報を用いて植物状態の数値化を行う計画であったが,機械学習の一手法であるディープラーニングに関する情報が多く流通しており,ディープラーニングを用いて目的を達成できる見込みがついたため,その変更に伴って予算の使用額に変化が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ディープラーニングを中心とする活動に注力するため,平成29年度の請求額と合わせてGPGPUをはじめとする計算リソースの確保に予算を割り当てる予定である.また,並行して進めている深度情報取得デバイスによる情報についても,ディープラーニングを組み合わせることができるため,屋外運用可能な状態にするための設計開発費用にも,平成29年度の請求額と合わせて耐久性の高いものを開発するために使用する.
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