2016 Fiscal Year Research-status Report
センシングと通信を融合する衝突利用型ワイヤレスネットワーク
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16K16044
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
猿渡 俊介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (50507811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | モバイルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,複数のアクセスポイントを連携させながら通信を意図的に衝突させることで,空間多重によってワイヤレスネットワークを大容量化することを目的とする.具体的には, 電波によるセンシングを通信に統合して,空間多重の課題である伝搬路推定のための通信オーバヘッドと計算オーバヘッドを大幅に削減する. また,センシング方式と通信方式を共通のハードウェアで実装可能なアクセスポイントの新しいアーキテクチャを実現する. さらに,実現したシステム全体をテストベッドで実証する.これにより,情報通信分野においてこれまで個別に議論されていたセンシングとデータ通信とを融合し,次世代ワイヤレスネットワークの基盤技術を構築することを目的としている. センシング方式では,CSI Toolsを用いてPCと市販の無線LANカードを組み合わせてLinux上でCSIを通常の無線LANパケットから取得可能な仕組みを実現した.アクセスポイントとしては,Zynqとフロントエンドとアナログキャンセル回路を組み合わせてソフトウェア無線機を実装し,物理層の情報をZynq上で動作するLinuxで取得可能な仕組みも実現した.通信方式としては,無線全二重通信、ネットワークMIMO、上下分離方式などの通信プロトコルを設計し,ブロードキャスト通信容量に漸近する仕組みの検討を行った.特に複数の異なるネットワークを組み合わせた方式において進捗があった.電子情報通信学会ソサイエティ大会,電子情報通信学会総合大会,情報処理学会全国大会等で研究発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
静岡大学から大阪大学に異動したこともあり,研究環境の再構築に大きく時間を要した.センシング方式に関してはハードウェアやソフトウェアの整備が遅れているが,通信方式に関しては上下分離型通信など予定以上の進捗があった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は平成28年度と同様に電波暗室とワイヤレステストベッドを積極的に利用しながら進め,センシングの成果と通信の成果を統合して国際ジャーナルや国際会議に投稿する.センシングでは,平成28年度に実現した特徴量の抽出手法を用いて特徴量から部屋の状態を分類するクラスタリングアルゴリズムを実現する.例えば,部屋に人がいる状態と人がいない状態を区別できるようにする.通信方式では,既にネットワークMIMOにおいてシステム全体の総スループットを伝搬路と通信方式の組み合わせにフィードバックして最適化するアルゴリズムを実現している.フィードバック方式において空間の変化が大きいときに最適値に収束するまでの時間が問題になることが確認できている.そこでセンシングによって得られた空間情報と過去の通信履歴を利用して高速に収束させるアルゴリズムを実現する.さらに,実現したセンシング方式,通信方式のアルゴリズムの実装方式や,アクセスポイント間の連携プロトコルなどを含めて,新しい時代のワイヤレスネットワークアーキテクチャとして国際ジャーナルに投稿する.
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Research Products
(5 results)