2016 Fiscal Year Research-status Report
仮想ネットワーク機器を有するデータセンタにおけるサーバ資源利用に基づいた遅延予測
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16K16045
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
川島 龍太 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00710328)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 情報通信ネットワーク / ソフトウェア / SDN / NFV / ネットワーク仮想化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,仮想ネットワーク機器による物理サーバ資源の安定利用を実現する資源割当てモデルの考案に向けた取り組みを行った.具体的には,NFV (Network Functions Virtualization)ノードを想定した物理サーバ環境において,現在広く利用されている様々なパケット処理機構(DPDK, Netmap, NAPI),ネットワーク仮想化I/O(vhost-user, vhost-net, SR-IOV),およびパケット転送処理を基盤とする仮想スイッチ(Open vSwitch, Lagopus, Bridge, L2FWD, xDPd, VALE)の組み合わせパターンをそれぞれ評価し,物理サーバの資源利用の状況と性能への影響について調査を行った.その結果,まずメモリやPCI Expressのバス資源については,ネットワーク性能上のボトルネックとはならず,CPU速度およびCPUコアの利用方法がネットワーク性能に大きな影響を与えることが分かった.また,主要なパケット処理機構であるDPDK (Data Plane Development Kit) およびそれを使用するいくつかの仮想スイッチを解析した結果,特にPipeline方式と呼ばれる方法を用いた場合,通信フローあたりのスループットが制限され,さらに遅延ジッタが増大することが分かった.次に,仮想マシンのネットワーク機能を透過的に拡張するローカルサービスチェインという概念を提案した.既存のNFVの概念と新たに提案したローカルサービスチェインの概念を融合することで,物理サーバの資源利用を抑えつつ,安定したネットワーク性能を実現することが可能になった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NFVを想定したサーバ環境下において,徹底した性能評価を実施し,これまで知られていなかった,サーバ資源の利用状況とネットワーク性能との関係性について明らかにすることができたこの結果はSDN/NFV分野の専門国際会議であるEWSDN 2016において公開された.さらに,主要なパケット処理機構であるDPDK (Data Plane Development Kit) およびそれを使用するいくつかの仮想スイッチを解析した結果,DPDKの使用方法によってネットワーク性能が大きく変わることを明らかにした.この結果は電子情報通信学会のICM研究会において公開された.そして,仮想マシンのネットワーク機能を透過的に拡張するローカルサービスチェインという新たな概念を提案し,その有効性を示すことができた.この結果は電子情報通信学会の英文論文誌に掲載されることが決まった.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果により,物理サーバ資源の利用状況とネットワーク性能の関係性が明らかになったため,今後は,NFV機器を論理的に多段接続したサービスチェイン環境における性能予測手法の確立に向けた取り組みを行う予定である.また,CloudRouter等,実際的なNFV機器を用いることで,実環境を想定した評価を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
計画当初に購入予定であった評価環境用マシン4台を,より高性能な評価環境用マシン2台に置き換えたため,差額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より実際的な性能評価を行うため、評価環境用マシンを2台追加購入する予算として60万円計上した. また,出版論文の印刷費として10万円,成果発表のための旅費(国外1+国内1)として30万円を計上した.
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