2016 Fiscal Year Research-status Report
センサノードを置くだけで測位可能な屋内センサ測位システムの研究
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16K16048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石田 繁巳 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (10724388)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | センサノード測位 / 異種無線信号検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、WiFiが普及した屋内環境においてセンサノードを置くだけで測位が可能となるセンサ測位システムを実現することを目的としている。センサノードはIEEE 802.15.4ノードモジュールを搭載しており、WiFi(IEEE 802.11)信号を検出することはできない。このため、初年度はセンサノードにおいてWiFi APの信号をAPを識別しながら検出し、その信号強度(RSS)を測定する手法に関して主に研究開発を行った。 センサノードとWiFiは同じ2.4GHz帯を利用しているため、センサノードにおいて使用中チャネル上の無線信号エネルギー測定をすることでWiFi信号の有無を判定することができる。本研究ではこの原理を応用し、WiFi APが送信しているビーコン信号の周期性を利用してセンサノード上でWiFi APの信号を検出する手法を開発した。また、一定の条件を満たすビーコン送信周期を各APに設定することでAP信号を送信元APを識別しながら検出できることを数学的に示すとともに実証評価によって確認した。 WiFiの1つのチャネルはセンサノードの4つのチャネルと重なっていることから、RSS測定前にセンサノードを適切なチャネルに切り替えるためセンサノード上でWiFi APの動作チャネルを推定する手法を開発した。 開発したAP信号検出手法を用いてAPのRSSを実測評価し、WiFiモジュールで取得したRSSと比較してバラツキが大きいものの同程度の誤差で測定できることを確認した。また、測定したRSSを用いてフィンガープリント法による測位システムを構築した結果、測位精度7.40mで測位できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は異なる無線通信モジュール間である種の通信を行う技術を確立するものであり、申請時には予測できなかった難しさを見いだすに至っている。しかしながら、研究開発を進める中で研究の目的を達するために必要となる技術課題に対して当初とは異なるアプローチを着想し、新たな研究開発を行った。当初計画の初年度の研究開発を一部変更して実施しているが、「センサノードでWiFi APのRSSを測定し、それを用いてAPが管理下にある前提においてセンサ測位システムを構築する」という当初の初年度目標を達成していることを勘案するとほぼ当初の計画通りに進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画ではセンサノードで取得したWiFi APのRSSを用いて距離ベースの測位システムを実証評価する予定であった。しかし、全てのAPの位置が既知である前提では測位基準センサノードを配置した場合との差は生じず、提案手法の優位性を確保できない。このため、WiFi測位システムで収集されたフィンガープリントデータを用いて測位を行う測位システムを構築し、実証評価した。現状の測位精度は7.40mと低く実用に耐えうるものではないため、次年度においては当初計画通りオフセットを考慮したフィンガープリント測位方式を開発し、精度の向上を目指す。また、APが管理下にない場合にはAPを識別することが困難となるため、当初計画通りAPを識別しない測位方式を新たに開発する。
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Causes of Carryover |
初年度の研究開発では、当初計画とは異なるアプローチを着想して新たな研究開発を行った。このため、必要となる機器に変更が生じ、一部の機器については申請者の保有している機器を利用したため当初予定よりも必要となった物品費が少なくなった。次年度には初年度に予定されていた実証評価も比較対象として実施する予定であり、初年度分で当初使用予定であった一部の予算を次年度に繰り越すこととした。 なお、調査のために参加した国内学会・国際会議の参加費が予定よりも高かったために会議費は当初予定よりも多く発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では初年度に開発した技術を使った実証評価を行いながら精度向上を目指す。また、最終成果物は学内において規模を広げて評価実験を行うため、追加のアクセスポイント購入やその設置費用、大規模実験の実験準備や実験補助のための人件費などに使用する予定である。
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Research Products
(8 results)