2019 Fiscal Year Research-status Report
特殊関数における高可搬で高精度かつ高信頼な高速計算手法の複素変数への拡張
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16K16060
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
山中 脩也 明星大学, 情報学部, 准教授 (90548877)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 数値解析 / 精度保証 / 高性能計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,特殊関数の計算に必要となる精度保証付き数値積分の計算法における高階微分計算法の研究を推進した.従来,高階微分の計算には広く自動微分(Automatic Differentiation)が広く利用されてきた.この計算方法は,生じる演算すべてでその中間変数の計算法が定義されていれば,微分の連鎖律に基づく計算が高精度に行えるという特徴を持つ.この方法に対して,近年,超双対数(HDN)を用いた微分法が提案され二階微分と HDN の関係が明らかになった.そして,二階微分に拡張した HDN 微分法は計算機で実装すると自動微分と一緒となることが判明した.この方法は従来の高階微分計算法と比べ,計算の構造がシンプルであることと,数値精度が高精度になるという点で,より精密な誤差評価を与えたいような場合に大変重宝する.この事実を基礎として,二階微分の計算をさらに高階微分の計算に拡張し,任意階の微分計算をを考案し,基礎理論の構築を行なった.この計算法のユニークな点は,解析的な微分という演算を,すべて代数的に行うという点にあり,演算規則それ自体についても,行列演算をそのまま用いることができるという点は,これまでの計算法にない独創的な特徴である.これにより,自動微分において必須であった演算規則の事前定義は,一般的な行列演算に帰着され,広範囲の数値解析ソルバーへの導入が可能となった.また,その技術を応用し,本年度は,超弾性モデルへ適用例とその性能評価についても報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の研究計画分は,申請書に記載した「ステージII」の領域に入り,「ステージI」で構築したアルゴリズムのいくつかの特殊関数への応用が目的となっているが,既にいくつかの特殊関数に対して計算法の構築が完了しているため,おおむね順調に進展していると言える.また,精度保証付き数値積分法において必須の計算項目であ理,また,精度に直接影響を与えるという意味で非常に重要な高階微分計算についても,研究を進めることができていることから,順調な進展と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築してきた技術をまとめ,複素変数を入力とする特殊関数の 4H-Algorithm 構築を行なう.この分野について多くの計算技術を持つ,共同研究者らと密に連携を取り,積極的に研究計画を推進していきたいと考えている.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの拡散の影響を受け,2020年に行う予定のほぼ全ての予定がキャンセルになったため.
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Research Products
(3 results)