2016 Fiscal Year Research-status Report
イヌは何を見ているか?視線の動きから迫るイヌの進化史
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16K16075
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小倉 匡俊 北里大学, 獣医学部, 助教 (30723564)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 視覚認知 / 社会認知 / 比較認知科学 / イヌ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではイヌが使役動物化する鍵となった視覚認知能力に迫る。ヒトがイヌを様々な目的のために使役動物として利用するには、ヒト・イヌ間のコミュニケーションの成立が欠かせない。イヌがヒトとの関係の中で独自に獲得した認知能力、特にヒトとの視覚コミュニケーションの成立に焦点を当て、イヌが視覚的に注意を向ける刺激を特定する。また、イヌとヒトが持つ選択的注意のプロセスの類似点を調べることで、イヌの使役動物化の過程においてヒトの意図を理解する能力が果たした役割を検証する。イヌとヒトを対象として画像に対する注視行動の比較実験をおこない、種間コミュニケーション場面に特有な視覚の注意パターンの類似点と相違点を解明する。本研究により、比較認知科学の観点からイヌの使役動物化の歴史を考察する上での不可欠の知見を得るとともに、発展的成果としてイヌの新たなトレーニング法の開発に貢献できると考えられる。本研究では眼球運動を追跡し、視線の動き方から呈示画像に対する視覚注視パターンを調べるシステムであるアイトラッカーを用いてイヌ・ヒトの視線の動き方の類似点・相違点を調べる。イヌの使役動物化の過程においてヒトの意図を理解する能力が果たした役割を検証し、イヌの進化史に比較認知科学の視点から迫る。 平成28年度には非コミュニケーション場面におけるイヌの基礎的な視覚注意特性の評価にかんする実験を実施した。本実験ではイヌを対象に中立刺激として風景写真を呈示した際の眼球運動を解析し、非コミュニケーション場面における基礎的な視覚注意特性を評価した。申請者の所属研究室で飼育しているイヌおよび一般家庭で飼育されているイヌとし、計7個体を対象に、当大学内の実験室において実験をおこなった。収集したデータは現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではアイトラッカーを用いてイヌ・ヒトの視線の動き方の類似点・相違点を調べる。イヌの使役動物化の過程においてヒトの意図を理解する能力が果たした役割を検証し、イヌの進化史に比較認知科学の視点から迫る。アイトラッカーとは眼球運動を追跡し、視線の動き方から呈示画像に対する視覚注視パターンを調べるシステムのことである。実験にはまず、アイトラッカーを装着した液晶ディスプレイの前に、実験対象となるイヌを「伏せ」の体勢で待機させる。液晶ディスプレイ上に静止画像を連続して呈示し、呈示中のイヌの眼球運動をアイトラッカーを用いて検出する。このデータから視線の動き方の指標を調べることができる。 研究全体の計画のうち、平成28年度には非コミュニケーション場面におけるイヌの基礎的な視覚注意特性の評価にかんする実験を実施した。本実験ではイヌを対象に中立刺激として風景写真を呈示した際の眼球運動を解析し、非コミュニケーション場面における基礎的な視覚注意特性を評価した。これにより、まずコミュニケーションと無関係な場面での視線の動き方を把握し、次年度に調べるコミュニケーション場面に特有な視線の動かし方を解釈する上での対照とする基礎的なデータを得た。呈示刺激を連続呈示中の視線の動きをアイトラッカーを用いて記録する。実験対象は申請者の所属研究室で飼育しているイヌおよび一般家庭で飼育されているイヌとし、計7個体を対象に実験を実施した。実験は当大学内の実験室においておこなった。収集したデータは現在解析を進めている。 この進捗状況は、申請段階における研究計画に合致しており、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究はおおむね順調に進展しており、今後も当初の計画通り以下のように推進する予定としている。平成29年度には、以下の2つの実験を実施する。 ・ヒトの指示場面において注意を向ける部位の特定 ヒトがジェスチャーで指示を与える場面の画像を呈示し、呈示中の視線の動きからヒトとコミュニケーションを取る際に注意を払う身体部位を特定する。これにより、イヌ・ヒト間のコミュニケーションにおいて重要な意味を持つ身体部位を特定する。呈示刺激として右図のようなヒトの指示場面の画像を用いる。たとえばこの刺激に対して顔よりも手に注意を向けるならば、顔よりも身振りが種間コミュニケーションの成立に重要な意味を持つと考えられる。注意パターンの比較から、イヌとヒト間のコミュニケーション成立の鍵となった身体部位を特定する。
・種間コミュニケーションと種内コミュニケーションでの違いの検証 視覚による種間コミュニケーションの成立が使役動物化の鍵であるならば、種間コミュニケーション場面ではヒトの影響を受け、種内コミュニケーション場面とは注意特性が異なると考えられる。そこでイヌの全身像を呈示し注意を向ける部位を特定した上で、先の実験結果と比較して種間コミュニケーションに特異的な注意特性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
残額で年度末に実験刺激作成および学会発表のため出張をおこなったが、会計処理の都合のため、精算が翌年度に持ち越しとなった。以上の理由により、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「理由」欄に記した年度末の出張のために、ほぼ全額を既に使用済みである。
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Remarks |
所属研究室のウェブサイトにて研究内容と成果を一覧化し、概説している。
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Research Products
(2 results)