2016 Fiscal Year Research-status Report
対話時の脳波と脳血流の同時計測による脳活動の状態と沈黙の関連性の解明
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16K16077
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大山 勝徳 日本大学, 工学部, 准教授 (50615606)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自己組織化マップ / EEG / NIRS / 暗算課題 / 遠隔環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の本研究は,対話時の脳波と脳血流の同時測定結果から沈黙前後について,自己組織化マップを作成し,識別可能な脳活動状態について調べた。暗算課題において時間変化する被験者の各脳活動状態について,特徴ベクトルのセグメンテーション(サンプリング対象の区間)のサイズに応じて識別可能な脳活動状態が異なるため,1分単位と1秒単位のセグメンテーションで異なる2階層の自己組織化マップを提案した(研究業績1)。
遠隔環境の被験者に暗算課題を音声で伝えて,計算を実施する実験を行った結果,2階層の自己組織化マップで安静時と課題実行時の1分単位の大まかな2状態を92%の精度で識別可能であることを確認したと同時に,単なる閉眼,聞き取り中,記述中,聞きながら記述の4状態についても67%から100%の間で識別できることを確認し,時間解像度に応じた機械学習は多種類の脳活動状態を対象とするときに有効であることを結論付けた。以上の結果を踏まえて,即時に脳活動状態を検証するために,リアルタイムなデータ記録結果から機械学習を残された課題として取り組む予定である。また次年度には,非対面の技術教育における対話とヘルスケア診断に関する事例について予定通り実験を進め,沈黙の種類を分析する。
(研究業績1)Katsunori Oyama, Kaoru Sakatani, Hua Ming, Carl K. Chang. Hierarchical Self-organizing Maps of NIRS and EEG Signals for Recognition of Brain States. 14th International Conference on Smart Homes and Health Telematics (ICOST2016), pp.335-344,2016.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度の研究計画に基づいて,自己組織化マップによる分析手法の改善を行いつつ,当初の目的である沈黙前後の脳活動状態のいくつかをクラス分類することができた。また,そのときのストレスレベル,感情変化,聞き取りや発話意思の視点からも分析が進んでいる。
ただし,遠隔環境の対話から沈黙の種類を分析するには,分析後に判定した脳活動状態の正しさを検証することが課題となった。沈黙の種類のうち,意図的に実験時に再現できない種類のものがある。そのため,脳波と脳血流の同時測定について,リアルタイムな記録と機械学習を可能にすることがセットとして新たに課題として考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度の研究を進める際,最初に前述した課題,脳波と脳血流の同時測定について,リアルタイムな記録と機械学習を可能にすることが必要であると考えられる。そのため,実験に用いている脳波と脳血流の測定結果に統計や機械学習が即時に行えるようにユーザインタフェースの改良もしくは開発を行う予定である。
また,H29年度に同時に実施する2つの適用事例(非対面の技術教育における対話,ヘルスケア診断)について,研究協力者とともに実験計画を行ったところである。
分析手法について,おもに教師なし学習を用いて脳活動状態のクラス分類を行ってきた。上記の課題と合わせて,即時の精度検証を可能とするために,今後は教師あり学習(おもに決定木やディープラーニングなど)を同時に適用し,結果を比較する準備ができている。
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Causes of Carryover |
おもに物品費に使用額の差が生じている。NIRSセンサの購入価格について,アカデミック版であったため大幅な節約をすることができたためである。
また人件費・謝金の使用額の差について,ボランティアを要する実験は当該年度の直前に行われたため,次年度の実験で人件費・謝金を含め計画を行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額について,2つの適用事例があるため,実験を今春と今秋に2回予定している。必要となる消耗品と人件費に使用する。また,検証方法に関する新たな課題が生じたため,そのために用いる実験インターフェースの改良に要する物品費に使用する。
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Research Products
(4 results)