2016 Fiscal Year Research-status Report
ハードウェア指向物体認識アルゴリズムとその実装方式の研究
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16K16085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
劉 載勲 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (70726976)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 物体認識 / ハードウェア / 特徴抽出 / 物体検出 / 物体追跡 / ブースティング決定木 / ACF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は最新の物体認識アルゴリズムの研究成果をハードウェアに適用し,高精度かつ高速な物体認識システムを実現することを目的とする.そのために最新物体認識アルゴリズムの一つである累積チャンネル特徴(ACF)とブースティング決定木(BDT)に注目し,ハードウェア指向物体認識アルゴリズムとその実装方式について研究している. 本年度の研究では,物体認識を用いた運転補助システムのフレームワークを考案し,国際会議(ERTICO-ITS)とシンポジウム(SASIMI)にて発表を行った.運転補助システムのフレームワーク研究は,ACF と BDT を用いた実用的なシステムの実現を当面の目標とすることで,実用的な物体認識システムにおける要求仕様を明らかにし,今後の研究において達成すべき技術的な目標を明確に定めることを目的としており,本研究ではその実現に必要な要素技術の開発に取り組んでいる. さらにその一環として,演算精度と認識精度のトレードオフ関係の改善と,検出と追跡処理の融合について研究を行い,各々の研究成果を国際ワークショップ(SISA)と国際会議(ITC-CSCC)にて発表した.まず演算精度と認識精度のトレードオフ関係の改善では,BDT を構成する二分木の特性に着目し,認識精度の劣化を抑えた上で必要な演算精度を16分の1までに抑えられる手法を提案した.ハードウェア実装における演算器の規模とメモリ量が演算精度に比例して増加することから,本研究成果は物体認識用のハードウェアの小型化に大きく貢献できるものと考えられる.次に検出と追跡の融合では,検出漏れが発生した場合にそれを補うために用いられる追跡処理に検出処理から得られる副次的な情報を利用する手法を提案し,検出と追跡における特徴抽出処理を一つに統合することに成功しており,効率的な物体認識システムの実装に大きく役立つものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況には研究実績に述べられている内容以外のものが多く含まれている.科研費申請時点での研究計画では,平成28年度にLUV色空間とチャンネル特徴の正規化に関する研究を実施する予定であったが,物体認識の高速な処理プラットフォームを先に構築することが今後の研究を加速させると判断し,平成29年度と30年度の研究計画として述べていたタスクスケジューリングに基づくブースティング決定木の並列化手法と運転補助システム用ハードウェアのプロトタイプ実装の研究を先行実施している.タスクスケジューリングに基づくブースティング決定木の並列化処理手法につていはソフトウェア実装によってアルゴリズムの有効性を確認しており,その研究成果は特許として出願する予定であり,国際会議や論文誌を通しての発表も予定している.またハードウェアのプロトタイプ実装については実機検証可能な水準に達しており,今後実験に要する時間を大幅に短縮できると考えられる.またプロトタイプ実装にに伴い,信号機,車両などの画像データベースの構築も進めている.研究の実施内容が当初の研究計画の順序とは異なるものの,研究目的の観点からは至って順調に研究が進んでいると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,機械学習に必要なデータベースの拡充を行うと同時に運転補助システム用ハードウェアのプロトタイプ実装を完了させることを目指す.さらにプロトタイプ実装を用いて物体認識の実験時間を大幅に短縮することで特徴抽出手法とブースティング決定木に関して幅広い評価実験を行い,今までよりも高精度な物体認識手法の開発を行う.
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