2018 Fiscal Year Research-status Report
最適な多次元センサ融合で実現する超高精度移動体追尾
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16K16093
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
佐保 賢志 富山県立大学, 工学部, 講師 (00732900)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 追尾フィルタ / 加速度観測 / H∞フィルタ / 最適設計 / 歩行者追跡 / 車両追跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は追尾フィルタの理論解析において、入力変数の数と次元、考慮する運動パラメータの数と次元、モデルのロバスト性、そして適用可能なレーダの数について、いずれも拡張することに成功した。具体的には以下の追尾フィルタについて、その基礎特性を解析的に明らかにするとともに、申請者が独自に考案した性能指標の最適化に基づく最適設計を可能とした。即ち、各フィルタの追尾誤差の理論限界を示した:(1)位置・速度・加速度を全て観測入力とするカルマンフィルタ、(2)位置と速度を観測入力とするH∞フィルタ、(3)等ジャークモデル追尾フィルタ、(4)等速旋回モデルベースのフィルタ、(5)位置と速度を共に観測可能な線形周波数変調レーダのための追尾フィルタ。特に(1)、(2)、(5)は本研究で提案も含めて初めて行ったものである。 さらに、主に屋内の歩行者を想定した実験を行い、これらのフィルタ全てについてその実環境下での性能を評価した。これらのフィルタを単に適用するだけでなく、同一の変数を仮定した粒子フィルタや拡張カルマンフィルタとも比較した。その結果、導出した理論限界は解析対象とした追尾フィルタのみでなく、その拡張となるフィルタの性能の見積もりにも有用であることを示した。 上記のこれまでの検討は観測雑音がガウス性であることを仮定してきたが、本年度は屋外の車両のレーダ追尾を仮定した実験を雨天時に行うことで、雨滴の反射に起因する非ガウス性の強い観測誤差が生じる場合に、上記の解析のみでは性能予測及びフィルタ設計が困難であることを確認した。この問題を解決するために、前処理として最頻値フィルタ及びメディアンフィルタを用いる手法を提案し、その有効性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本来4年間の計画として実施する予定で作成した本研究の申請書に記載した研究計画を、3年目である昨年度までに全て完了したため、上記区分で評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画で予定していた検討は全て実施できたものの、非線形・非ガウスモデルを仮定した追尾フィルタに関する検討については当初計画ではもう少し高い目標、具体的にはこれらのモデルについても従来研究では全く示されていないような学術的に重要な知見又は実用上有効な実験結果を得るという目標を設定していた。このため、この点を改善することを最終年度の計画とする。 加えて、昨年度までに得られた成果についてまだ発表できていないものを、対外発表すると共に査読付き学術論文として投稿することも最終年度の重要な目標である。
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Causes of Carryover |
以下の3つの理由により生じた金額の合計が次年度使用額となった。(1)前年度発注予定であった物品(レーダーの追加発注)の年度内納品が不可であったため。(2)国際会議が一件不採択となったため、その分の旅費が未使用となった。(3)昨年度中に発表予定であった学術論文1件が不採録となり、現在再投稿中である。これに伴う論文掲載料及び英文校正料が未使用となった。 以上の金額について、物品は予定通り発注する。国際会議については論文を修正した上で別の会議に投稿して参加することとする。学術論文については審査結果に応じて対応する。
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