2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K16099
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 敦史 京都大学, 教育学研究科, 助教 (80641753)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒューマンコンピュータインタラクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は以下(1)物体操作を介した意図推定,(2)物体操作に基づいた困惑の検出,(3)困惑の原因の推定の3つからなる.初年度は,主に(1)と(2)に取組んだ.(1)については平成27年度に終了した科研費基盤 A(研究課題番号 24240030) を継続的な課題として引継ぎ,意図推定の自動化,意図推定の高精度化を行った. 前年度までに開発した物体の把持・解放を検出する技術,及びその物体の種類を深層学習により認識する技術を融合し,把持・解放の判定と物体の種類の認識を同時に行うような改良を行い,より実用的な環境で動作する技術への発展を実現した.また,この技術を,前年度までに開発したインタラクションシステムに組み込むことで,完全に自動で意図推定を行うシステムを実現し,国内最大級の画像処理系の学術会議であるMIRU2016においてデモ発表を行うなどした.
(2)の課題については,机上作業では,作業空間が壁と接している,机上に大きなモニタがあるなど,様々な理由により,人物を正面から観測することが難しいため,天井など上方に設置したカメラにより机上作業中の上半身の姿勢を頑健に推定する手法の確立を目指した.このような設置位置を想定した姿勢推定学習用のデータセットを作成し,正面や上方を含む任意のカメラ設置位置で動作する人物姿勢推定手法を開発した.この中で,正面から人物を撮影する場合に比べて,上方から撮影する場合に新たに取り組む必要がある技術的課題を明らかにし,まずは単純な方法で精度の向上を確認した.また,この内容については国内会議にて発表も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)の課題について,当初予定していた自動化を実現した.ただし,当初,高精度化の戦略として予定していた身体的動作の認識を組み込むことは,学習用データの準備などの負担が当初想定以上であり,計画変更を余儀なくされてしまった.代わりに,従来開発していた物体認識手法の部分を高精度化することで,研究を前進させることができた. (2)の課題については困惑状態を含む調理映像データの収集についてある程度の目処を立てることができたものの,実際にどのような身体的動作として表出するのか,といった検討に入ることが出来なかった.一方で,上方に設置したカメラによる姿勢推定手法の開発については,ほぼ予定通りに進めることができていると認識している.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)の課題については,継続して研究を進め,さらなる高精度化を図る.まずは認識結果の統合方法をより信頼度の高い最適化手法を用いたモデルに改良することによる高精度化を目指す.動作認識を組み込むことは困難が予測されるため,当初計画を変更して,これは最終年度に向けた発展的な課題として捉える. 自動化が難しいと判断される場合のARマーカによる認識の代替については,比較的認識技術の開発が順調であるため,必要とはならないと判断している. (2)の課題については,困惑状態のモデル化,及び,姿勢推定器を利用した困惑検出器の開発に取り組む.また,最終年度に予定されている最終評価において,この困惑検出器に組み込むことを前提として姿勢推定器の高精度可に取り組む.
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Causes of Carryover |
前年度までに購入した物品を再利用したり,当該年度の別予算で購入した物品などを効率的に運用することで,初年度の研究計画を当初の想定より経済的に研究を遂行することができた.このため,当初より物品購入費が抑えられ,次年度使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度の研究成果を発展させ,より広範な対象を認識する識別器を訓練する必要が生じている.この訓練を行うための計算資源として,GPGPUを備えた計算機環境の整備を行う.
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