2016 Fiscal Year Research-status Report
4K・HDRディスプレイに表示された周辺視をともなう立体映像が生体に与える影響
Project/Area Number |
16K16105
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
高田 真澄 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 講師 (50760998)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 立体映像 / 周辺視 / fNIRSE / 映像酔い / 衛生学 / 人間工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
立体映像視認時における周囲像が生体に与える影響、特に脳血流量の変化について調査・検討を行い、「脳内における周囲像の有無に関して視覚情報処理が過負荷になっている」ことを確認するための基礎データの検討を行った。 (1)背景のない立体映像コンテンツ、および(2)背景のある立体映像コンテンツの実証実験への応用を検討した。これらは、2Dおよび3D映像に変換できるコンテンツとなっている。1.脳血流量、2.心電図検査、3.重心動揺検査を健常若年者(20-26歳 平均±標準偏差:21.0±1.8)14名に実施した。 (1)背景のない映像視認時において、視覚野の位置する後頭葉の酸化ヘモグロビン濃度が有意に増大し、追従視より周辺視の方がより増大した。また、(2)背景のある映像視認時においても追従視より周辺視で後頭葉上部で酸化ヘモグロビン濃度の増大がみられた。一方、前頭葉における酸化ヘモグロビン濃度の増大がみられたのは背景なしの周辺視を行ったときのみであった。これらの結果から、背景ありの映像では視覚情報量が増えることから視覚野の活性が高まっていることが考えられる。また、周辺視時の後頭葉上部で酸化ヘモグロビン濃度が増大していることは、脳内での映像処理を背側視覚路を経由し平衡感覚との連携をとっていることが考えられる。一方、前頭葉活性がみられたのは背景なしの周辺視のみであったことは、遠近感の手がかりとなる情報が不足することから空間認知を補完するための思考が行われていることが考えられ、視覚情報と眼疲労・映像酔いの脳内処理における知見が得られた。 これらの実験結果は、国際会議で口頭発表を行い、現在は査読付き学術雑誌に掲載準備を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画では、上記の実験を実施し。平成28年7月のHCII 2016にて学会発表を行う予定を立てていた。前述の学会発表まで完了している(共著)。
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Strategy for Future Research Activity |
映像コンテンツはゲームをはじめとして学童期から身近なものとなっている。視機能の発達過程にある学童期にある者を対象に、映像視認時の生体影響を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
4Kテレビの購入などを予定していたが、共同研究者からの貸借が可能になったこと、国際会議出席について渡航規制などがかかり、予定していた国際会議への出席が難しくなったことなどがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度からは、日本以外で行われる国際会議への出席、また4Kテレビの購入(実験が引き続きあるため)を行い、論文投稿費用として使用する計画がある。
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Research Products
(1 results)