2018 Fiscal Year Research-status Report
4K・HDRディスプレイに表示された周辺視をともなう立体映像が生体に与える影響
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16K16105
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Research Institution | Yokkaichi Nursing and Medical Care University |
Principal Investigator |
高田 真澄 四日市看護医療大学, 看護学部, 講師 (50760998)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | デザイン評価分析 / 生体医工学 / 自律神経機能検査 / 衛生学 / バーチャルリアリティー / 生理学 / 脳科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において、立体映像を周辺視した際に映像の背景が脳血流量および体平衡系に影響を及ぼすことが明らかにされた。そこで平成30年度研究では、周辺視野の背景情報が生体に多大な影響をおよぼすと考えられる低精細映像に着目した。低精細映像は現代ではインターネット上で氾濫しており、特に多くの家庭で楽しめる動画サイトで、年齢を問わず容易に入手・視聴可能な点が危惧される。本研究では、「精細度の異なる映像が脳活動に及ぼす影響」を脳血流量にて検証した。詳細は次項「現在までの進捗状況」に記載するが、精細度の異なる映像視聴時における脳血流量変動を統計的に比較・検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
21-24歳の健常な男性11名(平均±標準偏差:22.6±1.0歳)を対象とし、HMD(GOOVIS G2)に解像度の異なる2種類の映像コンテンツを表示させ、映像視聴時の脳血流量の変化を測定した。解像度が高い1080pの立体映像、解像度の低い360pの立体映像の順でそれぞれ60秒間立位ロンベルグ姿勢にて視認させた。このプロトコルを5回繰り返しの実験を行った。fNIRSを利用して大脳皮質における酸素化ヘモグロビン濃度(oxy-Hb)の濃度波形の積分値を指標とし、全チャンネル(48ch)において統計検定により比較を行った結果、低精細度映像において、前頭葉の全てのチャンネル、側頭葉上部(ch17、19、22、24、27、30、32、35)、後頭葉上部(37、38、39、44)で脳血流量が有意に増加した(p<0.05)。このことは、視覚対象の認識が困難になり視覚情報処理過程に負荷が加わったためであると考えられる。 Bear(1983)はUnderleider & Mishkin(1982)の腹側視覚路システムに前頭葉への経路を加えたモデルを提唱した。腹側経路を構成する神経細胞は空間分解能が高く、物体の形状や色、局所的な運動野奥行き情報に選択性をもっている。そこでは、腹側視覚路は側頭葉から海馬、扁桃体を経て前頭眼窩野に達するとされる。加えて、前頭連合野における血流の亢進もみられることから、周辺視の指示があるものの、視標への眼球運動の制御が行われていることが窺える。
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Strategy for Future Research Activity |
両眼立体視の視覚情報処理において、腹側視覚経路の活動を示す側頭葉と、背側視覚経路の活動を示す後頭葉の協同性がみられるとする仮説がある。低精細映像などの視覚情報処理における負荷の高いものについては、通常の視覚情報処理過程が著しく変化する可能性がある。本年度の研究で得られた脳血流量動態の変化に基づき、 (1)立体映像視認時おける腹側視覚経路の活動を示す側頭葉(19 ch)と背側視覚経路の活動を示す後頭葉(37 ch)の振幅二乗コヒーレンスを算出して、これらの活動の関連性を定量的に調査する。 (2)視認映像の精細度が低下した場合において、その関連性の変化を追跡する。 これらは映像酔いにも直結する事象であるため、自律神経活動との関係にも注意を払って検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
成果発表を目的とした国際会議参加のための渡航を年度末に予定していたが、本務先を異動した関係で、研究環境が変わり、実施できなかった。そのため、次年度に実施する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Book] Stereopsis and Hygiene2019
Author(s)
Masumi Takada, Hiroki Takada, Masaru Miyao, Kouki Nagamune, Yosuke Uozumi, Shu Matsuura, Fumiya Kinoshita, Kazuhiro Fujikake, Yasuyuki Matsuura
Total Pages
135
Publisher
Springer
ISBN
978-981-13-1600-5