2016 Fiscal Year Research-status Report
非線形時系列解析論の拡張によるヒトとヒトの相互作用の解析と感染症流行予測への応用
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16K16126
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
島田 裕 東京理科大学, 工学部情報工学科, 助教 (50734414)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グラフ間距離 / テンポラル・ネットワーク / 複雑ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は,非線形時系列解析技法を拡張することで,決定論的観点からヒトとヒトの相互作用データに潜む時空間的性質を明らかにすることである.これにより,テンポラル・ネットワーク上での感染症流行規模予測に向けた新たな解析フレームワークを提案することが主眼である. 当該年度では,その第一ステップとして,交付申請書に記載した研究実施計画に基づいて,(i)ネットワークの時間変動量定量化尺度を用いたヒトの相互作用データの決定論性検定法の開発,および (ii)ヒトとヒトの相互作用データに対する時系列解析手法の有効性検証を行った. 具体的には,研究代表者らが既に提案しているネットワーク構造間の差異を定量的に捉える手法を用いて,テンポラル・ネットワークの構造の時間変動の周期性を捉える手法を提案した. また,一般に公開されているヒトとヒトの相互作用データ(http://www.sociopatterns.org)に対して提案手法を適用し,その有効性の検証を行った.対象としたデータは2種類あり,一方は病院内での医療従事者および患者間のコンタクトを記録したデータ,他方は高校生・教員間のコンタクトデータである.いずれのデータもRFIDを用いて記録されている.これらのデータに対して提案フレームワークによる解析を行った結果,ネットワーク構造の時間変化の周期性を捉えることが可能となった.この成果の一部は Scientific Reports 誌に掲載されている(Y. Shimada, et al., Sci. Rep., Vol. 6, 34944, 2016).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画の通り進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した研究実施計画の通りの内容を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
所属機関からの助成金および交付申請書提出時以降に計算機環境が向上したため,当該年度に購入する計算機のコストを抑えることができたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降使用額は,主に外部記憶装置の購入および成果発表のための旅費に充てる.本研究課題では大量のネットワークデータを扱うことから,当初予定していた外付けHDDを,よりデータアクセスが高速で高価なSSDへと変更する.また,研究の進捗に応じて,当初予定していた国際会議に加え,当該分野の著名な他の国際会議への応募を検討している.
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Research Products
(6 results)