2016 Fiscal Year Research-status Report
編集ベースの類似検索手法および検索要求推定モデルの構築
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16K16137
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
石橋 賢 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (70749118)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 類似検索 / 編集ベース / フォント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、編集ベースの類似検索手法の提案および編集作業に現れるユーザの要求を反映させることによる、心象に基づく類似検索の有効性を明らかにすることを目的とする。従来の類似検索手法に比べて、簡単かつ素早く目的とする検索対象を探し出すことができる。当該年度は、心象に基づく類似検索手法の開発に伴い、特定の言葉に対する心象とフォントの形状との関係性を調査する実験を実施した。本実験では、外国名の心象とフォント形状に着目し、短時間でフォントを選択できるシステムを開発し、それを用いた各外国名に適したフォントを選択する実験を行った。実験で得られたフォント形状の特徴を分析したところ、フォントの線幅と曲線が各言葉の心象と結びついていることが確かめられた。また、提案手法を用いたフォント検索システムにおいて、特徴量を再検討することで、探索性能の向上を図った。フォント検索システムを用いた評価実験では、先行研究に準拠した条件下において、優れた探索性能を有することが示された。さらに、編集操作とユーザ要求に関する点を明らかにするために、縦横比と角度の変化を頭の中でイメージさせ、それがどの程度の比率と角度であるのかについて実験を行った。実験結果では、横長より縦長形状のイメージの比率が高く、角度については、右方向への傾きより、左方向への傾きが大きいことが分かった。以上の実験結果を通して、ユーザの要求を反映させる類似検索システムの作成方策が明らかになった。次年度では、パラメータ推定実験とフォント以外のコンテンツでの提案手法の有効性を検証する。年度計画で挙げていた目標を達成できており、本研究はおおむね順調な進捗状況であると言える。当該年度の成果は、既に対外発表を通して公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画では、1)類似度の定義、2)編集ツールの選定、3)システムの評価実験を挙げていた。1については、フォント特徴量の再検討のみ実施となった。フォントの特徴量に関しては、評価実験の結果からも良好な類似検索結果を提示できていることが示された。年度計画では、フォント以外の類似度も定義する予定であったが、フォント検索手法のフレームワークを強化することは、他のコンテンツへ対応していく上で重要な作業であったため、フォント特徴量の再検討に注力した。一方で、フォント特徴量の一部が他のコンテンツの特徴量として流用可能であることが分かった。すなわち、コンテンツに応じて一から類似度を定義するのではなく、より汎用的な特徴量を定義することができると考えられ、提案手法の汎用性を高める点では、より望ましいアプローチであると言える。2については、各種編集ツールを使った実験を通して、ユーザが簡単に操作できることが実証され、全体変形、自由変形、線幅調整の編集操作が有力な編集ツールであることが確認できた。新たなツールを追加することより、有力な編集ツールの使いやすさを向上させることが重要であると考える。次年度においてもユーザビリティの改善を推し進める必要がある。3については、先行研究に準拠した条件での評価実験にて、提案手法が優れた探索性能を有することが明らかになった。特に、検索により目的のフォントを発見できるだけでなく、短い時間で検索できることが示された。さらに、次年度に向けた心象との関係性に関する調査も実施しており、比率や角度の具体的調査結果や言葉の意味と文字形状との関係性に係る調査結果から、次年度のユーザ要求の推定モデルを構築する実験に活用することが期待できる。以上より、総合的には当該年度の目標をおおむね達成できているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
編集ベースのフォント検索手法のフレームワークが完成したため、これを基にユーザ要求の推定モデルを構築する。具体的には、線幅や曲線の特徴に注目して、ユーザの操作情報を記録する実験を実施し、それらのデータからパラメータ推定を行う。当初は、サーバを介して情報を得る予定であったが、確実性とデータ収集の質的側面を考慮し、実験環境をラップトップPCへ変更することを計画している。これにより、実験条件の統制と高精度かつ汎用性の高いモデル構築の目標を達成できるものと考える。モデル構築には、回帰分析やMCMCなどを採用し、より有用な推定モデルの構築を行う。構築したパラメータモデルを導入したシステムで実験を行い、推定モデル導入の有効性を検証する。さらに、3Dコンテンツへのシステムの拡張も必要となる。3Dコンテンツの特徴量として、Light Field Descriptorを採用する予定であり、フォント特徴量と掛け合わせて、3Dコンテンツへ対応した類似検索システムを実装する。3Dコンテンツのインタラクティブな編集は、2Dとは異なる編集ツールが必要だと考えられるため、編集ツールの選定には十分な検討と予備実験を予定している。以上の推進方策により、本研究の目標を達成する予定である。
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Causes of Carryover |
必要な物品や旅費、その他の支出において、当該年度は適切に予算を執行した。年度末での学外出張において、本学規定での算出方法に従い算定された旅費で予算残額の端数が発生した。当該年度で無理な予算執行は適切ではないと考え、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算と合わせて、実験機材の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)