2017 Fiscal Year Research-status Report
編集ベースの類似検索手法および検索要求推定モデルの構築
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16K16137
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
石橋 賢 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (70749118)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 類似検索 / 編集ベース / フォント / スケッチベース / 形状 / 印象 / テクスチャ / 進化計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、編集ベースの類似検索手法の提案、および、編集作業時のユーザ要求を反映させた検索アプローチによる心象に基づく類似検索の有効性を明らかにすることである。当該年度は、2次元から3次元形状への拡張を念頭に置いた形状と心象に関わる研究を通して、視覚的な複雑性と心象の変化についての知見を得ることができた。また、その知見は商品の装飾に利用することができるものであり、その研究成果を学術論文として公表した。さらに、前年度の課題であった特徴量の再検討を行うと同時に、従来手法であるスケッチベースの手法との比較実験を行い、提案手法の有効性を明らかにすることができた。具体的には、探索空間上での各コンテンツカテゴリをt-SNEとc-meansにより効率的に分類した点、類似性の定義においてEarth Mover’s Distanceにより重み付けを考慮することで、より精度の高い類似検索を実現した点が挙げられる。評価実験においても、先行研究に倣った条件下で従来よりも優れた探索性能を有していることが確かめられた。上記二点の成果により、次年度は3次元への拡張、ならびに、主観と客観評価を含めた提案手法の有効性を明らかにした上で、それぞれ対外発表および、学術論文として公表することを予定している。ただし、ユーザ要求の反映に必要な推定モデルの構築については、次年度着手できていなかったため、前年度までに蓄積したユーザ操作のデータを基に、早急に推定モデルを構築して提案手法への組み込みを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の課題として、1)類似度の再定義、2)従来手法との比較、3)3次元への拡張、4)推定モデルの構築を挙げていた。1については、探索空間上においてt-SNEにより3次元の多様体を生成した上で、c-meansによりクラスタリングを行い、効率的な手法により初期候補の多様性を確保することで改善し、同時に、Earth Mover’s Distanceを取り入れた類似度の再定義により、類似検索結果の精度を高めることに成功した。2については、スケッチベースのアプリケーションを実装し、提案手法と同一条件で評価実験を行ったところ、提案手法が優れた性能を有することが実証された。同時に、他の先行研究と類似条件であったにも関わらず、より良い探索性能を示すことができた。3については、リボンの装飾を対象とした形状と心象に関する調査を実施し、視覚情報の物理的変化との関係性について明らかにした。本調査結果は、装飾時に利用できる有用な知見であり、社会的な効果も期待できる。さらに、3次元への拡張において、複雑性と心象との関係性に関する調査結果を利用することで、ユーザの心象に基づく3Dコンテンツ検索手法を実現することが期待できる。4については、推定モデル構築に必要なデータ収集実験に時間要したため、未着手である。次年度では、推定モデルの構築とそれをアプリケーションに組み込むことを進めていく必要がある。以上より、総合的には当該年度の目標を概ね達成できているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2次元コンテンツを対象とした編集ベースの類似検索手法については、客観的な評価実験を通しておおむね完成した。残る本研究の課題は、3次元コンテンツの導入に向けた特徴量と類似度定義の検討、ならびに、推定モデルの構築が挙げられる。前年度については、回帰分析やMCMCといった方法を検討していたが、近年深層学習による研究成果が多数報告されており、複数の方法で推定モデルを構築し、それらを比較することで、3次元コンテンツに適した特徴量と類似度定義を決定することを予定している。当面は、Light Field Descriptorを採用する予定であるが、3次元コンテンツの場合、形状特徴だけではなくテクスチャの特徴も心象に大きく影響することが示唆されたため、当該年度で検討したGray Level Co-occurrence MatrixやLocal Binary Patternの特徴量も含めることで、3次元コンテンツの編集ベース検索手法を強化することを推し進めていく予定である。テクスチャ特徴量については、対話型進化計算と組み合わせた3Dモデルを対象とするテクスチャ検索手法を新たに提案し、その知見を活用してテクスチャによる心象を提案手法に組み込むことができるものと予想される。その際の課題として、テクスチャマッピングにおいて、形状の違いが影響してテクスチャの印象が変化することが挙げられる。前年度の実験では、形状特徴を考慮しなくてもある一定の有効性を確認できたため、まずは、テクスチャ特徴量を導入し、そこから形状とテクスチャとの関係性について改善していく流れで、本研究を進める。本推進方策は、従来の研究計画ではなかった新しいアプローチである。
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Research Products
(4 results)