2017 Fiscal Year Research-status Report
感性表出を喚起するインタフェースエージェントの開発
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16K16140
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 一晶 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 助教 (70721877)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒューマンエージェントインタラクション / 表情 / 一体感 / 遠隔操作 / ソーシャルプレゼンス / テレプレゼンス |
Outline of Annual Research Achievements |
感性を喚起するインタフェースエージェントのデザインとして,表情の効果と音楽同期動作(音楽の拍子に合わせて身体の一部を動かす動作)の効果を検証した. まず,表情に関する研究では,エージェントによる感情・意図伝達において,表情がどのように寄与するか調査するため,盲導犬に関する全く同じエピソードを,同じエージェントに,同じ平たんな合成音声で語らせた.このタスクにおいて,異なる3種類の表情(快表情/無表情/不快表情)を伴って語ることを被験者間条件として比較した.また,エージェントはエピソードを語った後に,盲導犬育成への募金額を被験者に質問した.実験の結果,全く同じエピソードであるにも関わらず表情を伴って語ることで印象や聞き手の心情が大きく異なることが分かった.また,不快表情条件では,盲導犬が生来の本能を抑えて仕事を行っているというネガティブな側面を被験者に印象付けることができ,それによって募金額が向上する傾向が見られた.これは,不快表情条件において質問への応答時間が有意に長くなったことから,盲導犬についてより深く考えさせることができた結果であると思われる.発話に表情を付加することは,発話内容の意図伝達に非常に有効であり,聞き手の心情のみならず判断行動にも影響を与えられることが分かった. 次に,音楽同期動作に関する研究では,移動ロボットに搭載したカメラ映像を見ながらそのロボットを遠隔操作するインタフェースを用いて,ロボットの音楽同期動作の提示/非提示を比較した.その結果,音楽同期動作の提示はロボットと操作者との一体感と同室感,およびロボットへの親近感を創出することが分かった.この結果から,ユーザが音楽に乗るのと同じようにエージェントも音楽に乗っていることをユーザに提示することで,別の場所にいるエージェントのソーシャルプレゼンスを強化できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタフェースエージェントのデザインを順調に明らかにしており,また,前年度に計画した人とロボットとの協働に関する実験を実施し,所望の結果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
インタフェースエージェントのデザインとして表情に引き続き,視線について検証する.また,人とロボットとの協働において,ロボットと事前にどのようなインタラクションを行っていると協働において感性が喚起されるのか,協働が促進されるのかを検証する実験を行う.その際にインタフェースエージェントのデザインに関する研究の知見を応用する.
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Causes of Carryover |
昨年度は前所属の研究室において他の研究費から被験者と実験補助員の謝金を支出したため,次年度使用額が生じた.今年度は本研究に関わる被験者と実験補助員の謝金を本科研費から支出し,実験を複数実施したが,昨年度の次年度使用額によって今年度も次年度使用額が生じた.来年度も引き続き複数の被験者実験を同時並行する.
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Research Products
(5 results)