Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の最終年度となる今年度は、次世代シーケンサーから得られるデータに基づいたlncRNAの機能研究、lncRNA-RNA相互作用と核内構造体に関する研究の2つを実施した。 lncRNAの具体的な細胞内機能に関する研究として、熱ストレス条件で形成される核内構造体(核内ストレス体)の骨格として働くHSATIII lncRNAについて下記論文を発表した。この研究ではRNA-seq解析により、HSATIII lncRNAが約400種類の遺伝子内の一部のイントロンのスプライシングを抑制し、そのmRNAを核内に留めていることを明らかにすると同時に、そのスプライシング制御を受けるイントロンの配列長の特徴を明らかにした。 lncRNA-RNA相互作用に関する研究としては、近年、RNA-RNA相互作用による相分離により核内構造体が形成される可能性が示唆されていた(Van Treeck, B., & Parker, R. (2018). Cell, 174(4), 791-802)。そこで、昨年構築したlncRNAと他のRNA間の分子間相互作用を網羅的に予測したWebサーバー(http://rtools.cbrc.jp/LncRRIsearch/)を活用することで、lncRNAと核内構造体形成の関係性についての検証を行った。その結果、核内構造体を形成する一部のlncRNAが相互作用の観点から非常に特異な性質を有することを発見したため、現在論文発表の準備を行っている。 [発表論文] Ninomiya, K., Adachi, S., Natsume, T., Iwakiri, J., Terai, G., Asai, K., & Hirose, T. (2019). LncRNA‐dependent nuclear stress bodies promote intron retention through SR protein phosphorylation. The EMBO journal. Fukunaga, T., Iwakiri, J., Ono, Y., & Hamada, M. (2019). LncRRIsearch: a web server for lncRNA-RNA interaction prediction integrated with tissue-specific expression and subcellular localization data. Frontiers in genetics, 10, 462.
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