2016 Fiscal Year Research-status Report
Phenotype・Genotypeによる超早期COPD検診法の研究開発
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16K16148
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鈴木 秀宣 徳島大学, 大学院理工学研究部, 助教 (50546710)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患の早期検診法 / 長期経年低線量CT画像 / 画像・ゲノム情報による層別化法 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD: Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は死亡数の多い疾患であり,2030年に世界の死因第3位になると報告されている.COPDを早期発見することが重要である.本研究は世界に類のない長期経年低線量CT画像(700例(2002年から2015年,14年間,9,048検診)・臨床情報(年齢,性別,Pack-year,禁煙歴,スパイロメトリー検査結果)を数理統計解析してCOPDの発症から増悪の過程を体系的に明らかにし,Phenotype(表現型)・Genotype(遺伝子型)による超早期COPD検診システムを研究開発する.1.長期経年低線量CT画像・臨床・ゲノム情報データベースの構築,2.長期経年低線量CT画像・臨床情報を用いたCOPD罹患・増悪の高リスク群の層別化,3.経年ゲノム情報を用いたCOPDの原因遺伝子・遺伝子変異の発掘,4.Phenotype・Genotypeによる超早期COPD検診システムの研究開発からなる.本年度は徳島大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の承認を得てヒトゲノム・遺伝子解析研究体制を整備し,1,2,3に注力した.非造影低線量CT画像の大動脈・肺動静脈の高精度な自動抽出法の開発,血管形態とCOPD罹患・増悪の高リスク群の関連性の調査,COPDの罹患・増悪に関連するSNP(Single Nucleotide Polymorphism)の選別を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2年計画であり,本年度の研究計画は1.長期経年低線量CT画像・臨床・ゲノム情報データベースの構築,2.長期経年低線量CT画像・臨床情報を用いたCOPD罹患・増悪の高リスク群の層別化法の開発,3.経年ゲノム情報を用いたCOPDの原因遺伝子・遺伝子変異の発掘からなる.本研究計画を国立がん研究センター・東京都予防医学協会の肺がん・COPDの専門医,徳島大学の人類遺伝学の専門医と連携して推進した.1.長期経年低線量CT画像,臨床情報,ゲノム情報を統合して数理統計解析するためのデータベースの構築,唾液の採取(平成29年5月開始)からゲノム解析に至る環境の整備を実施した.2.CT画像から臓器形態(肺実質・肺血管樹・気管支樹の構造)と病態(病変の発生部位・最大径・体積・形状)を定量化してCOPD罹患・増悪の高リスク群の層別化に関連するイメージングバイオマーカーを探索した.3.人類遺伝学の専門医と連携し,アジア人を中心として肺がん・COPDに関連するSNPを調査し,12個のSNPを解析候補として選別した. 本研究に関する平成28年度の研究成果は国際会議論文1件,国内研究発表7件である.申請時の計画通り概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施した1,2,3の研究課題を継続し,4.Phenotype・Genotypeによる超早期COPD検診システムの研究開発に取り組む.平成29年度に検診を予定している受診者の唾液を採取し,ゲノム情報抽出/タイピング解析を実施する.長期経年低線量CT画像を用いて臓器形態と病態の経年変化を定量化する手法を開発し, CT画像・臨床情報・ゲノム情報を統合した多元空間を数理統計解析してCOPD罹患・増悪の高リスク群の層別化に有効なイメージングバイオマーカー・SNPを発掘する.これらの成果に基づいてPhenotype・Genotypeによる超早期COPD検診システムを目指す.システム化のために長期経年低線量CT画像・臨床情報・ゲノム情報の大規模データのハンドリング技術,臓器形態・病態の時空間情報の可視化技術の研究開発を推進する.協力研究機関における臨床評価によってシステムの有用性を検証する.これらの課題について国立がん研究センター・東京都予防医学協会の肺がん・COPDの専門医,徳島大学の人類遺伝学の専門医,研究支援者1名の連携によって推進する.
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Causes of Carryover |
研究支援者の謝金が3月に発生しており,また,CT画像・臨床情報のバックアップ用物品が3月に納品となり,支払いが完了していないため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月に支払いが完了する予定である.
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