2020 Fiscal Year Research-status Report
公共図書館経営におけるハイブリディゼーションの基礎的研究
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16K16161
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小泉 公乃 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (70567461)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公共図書館 / ハイブリディゼーション / 経営組織 / 情報専門職 / 事例分析 / 国際比較 / 北欧 / 米国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度も引き続きこれまで入手したデータの整理と分析を実施した。分析結果については、第一に、昨年度に発表した研究内容を基礎に、ノルウェー、アメリカ、日本の図書館政策と制度の国際比較分析を詳細にしたうえで、査読誌に投稿し受理された。この研究では、(1)図書館の経営に大きく影響を与える文化政策、(2)現代の民主主義社会において重要な公共圏、(3)公共図書館制度の実態について、ノルウェー、アメリカ、日本を対象に各国の専門家による議論と資料の分析を通した比較分析を行なった。その結果、ノルウェーの公共図書館では、物理的な場所と公共圏を重視した直営経営がなされていることがわかった。また、日本の公共図書館では、読書や情報リテラシーに重点が置かれた経営がなされているが、民間企業による経営や専門性に課題があることが明らかになった。ノルウェーと日本の共通点として、政府によるトップダウンの政策がなされていた。それに対し、アメリカでは、多様な経営を基礎にした公共図書館に対して多面的な文化政策から多くの支援がなされていることがわかった。 第二に、アメリカ公共図書館の多様な経営形態の一つである図書館区に関する追加の研究を実施した。この研究では、共同研究者とともにオレゴン州の図書館区に関する資料調査から、図書館区が導入された経緯について明らかにした。そのほかに,研究成果の一部を図書館の実務家向けの雑誌や講演などで発表をすることで,日本社会に向けて広く公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまで収集したデータの整理と分析を進めてきたが、新型コロナウイルス感染症の影響で残された調査対象のオスロ市図書館の新しい中央図書館(Deichman Bjorvika)の開館が延期になった。Deichman Bjorvikaも分析に含めるために研究期間を一年間延長し、その後同図書館は開館したが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行から、渡航できずに、追加での調査が行えないため、遅れているとした。そのほかについては、分析結果の一部を査読誌に発表することができた。また、追加の調査として米国の図書館区の研究も実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、新型コロナウイルス感染症の影響から遅れていた調査を実施する。調査対象は、主にオスロ市図書館の新しい中央図書館(Deichman Bjorvika)と、2018年12月に開館したヘルシンキ市中央図書館オーディ(Helsinki Central Library Oodi)とする。また、追加で調査対象としたアメリカの図書館区に関しても資料調査を基礎にまとめる。そして、これまでの調査を通して得られたデータを対象に総合的な分析を実施するとともに、その成果をまとめる予定である。
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Research Products
(7 results)